改変ポイント④
最強の敵(Fukase)が抱える悲しみ
日胡は意中の先輩である武田新(加藤清史郎)と恋仲になり、喜び、テンションが上るわけだが、ここで登場するドーパミンをアゲアゲにする細胞として、DJ KOOが、そのまんまDJ役として起用されている。釣られて他の細胞たちも皆、踊り出す。ギャグパートではあるが、「ドーパミンが分泌された際の人間の体内は、こうなんだよ」と教えてくれているようで、実に興味深い。
しかし、そんな日胡は、血液細胞ががん化した血液のがん「白血病」に侵されてしまう。その元凶は、まさしく「がん細胞」。白血球の「バグ」により生まれる、誰の体内においても、いつ生じるかわからない細胞である。
原作ではそのキャラクターのことを「がん細胞」とそのまま呼ばれているが、本作では特定の呼び名はないので、ここでは公式サイトの紹介文に習って「最強の敵(Fukase)」と呼ばせていただく。
このキャラクター設定の改変にも拍手を送りたい。
原作では、少年時代に白血球に助けられた過去のある細胞だったが、本作では、「いつかお兄ちゃんのようになりたい」と幼い頃に白血球に指導を受け、憧れ慕っていたという設定になっているのだ。
最強の敵は、なかなか1人前の白血球になれず「不良品・落ちこぼれ」と罵られ、排除されるべく連行される。が、バグが発動したことでがん細胞となり、白血球に歯向かう存在になってしまった。