「彼らも死んだ方がマシだと思っているかも知れません」
蘇生者を描く上で考えたこと

©MortenBrun
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―――原作では蘇生現象と村社会を描き、そこで起こる差別や議論が描かれていたのに対し、映画は蘇生現象と家族というミニマムな群像劇になっていましたね。

「今回の脚本は新たにイチから書いたわけではなく、途中から私に引き継がれた形なんです。引き継がれた時点で本作のスタイルにはなっていました。私も家族の苦悩にフォーカスしたかったし、より私が描きたい詩的な物語にするため、さらに他の情報をそぎ落として今回の形になりました」

―――虚無を見つめる蘇生者は、魂が無いようで……観ていて非常に悲しいですね。蘇生者イメージはいくつかあったのでしょうか?

「原作を読むまで“蘇った死者”のことを深く考えたことはなくて(笑)。だから、明確なイメージは持っていませんでした。でも、原作にあった“蘇生者”は魅了されるものですよね。愛する人々が還ってくるわけですから。とはいえ、その先には厳しい現実が待っている。体だけが還ってきて、魂はそこにないという原作の雰囲気がとても気に入っていたので、それをリアルに表現しようと思いました」

―――頭を撃ちたくなるような、所謂「ゾンビ」ではないですよね。

「『私なら撃つね』と言った観客もいましたよ(笑)。でも、私としては「じゃあ、人を食べるぞ!」とは思われないよう、地に足をつけた世界観を目指しました。とはいえ、蘇生者がどんな風貌なのか? は、人それぞれ信じているものがあるから、千差万別ではあると思いますが…。私は体だけが蘇り、自然の一部として本能だけが残って動くというイメージを持っていましたね」

—— 本能がおのおののキャラクター性を持たせたという感じでしょうか?

「正直、何も持っていないキャラクターはドラマの中で動かしづらいんです。そこで、生者に「蘇生者は、こういう思いがあるに違いない」と思い込みを持たせることにしました。ところで、蘇生者を見てどうおもいましたか?」

—— 言葉は発しませんが辛そうでしたね。

「彼らも死んだ方がマシだと思っているかも知れません。だって、役目を終えた体なんですから。ボロボロの腐りかけの体で生活しなければならない。何故か蘇ってしまい、自然は生きろと言っているが、当人はもう辛くてしかたない。そんな感覚も込めました」

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