チャッカリの声を探す楽しい現場
―――チャッカリのキャラクターについて、どう解釈されて演じましたか?
「チャッカリという名前の通り、ちょっとちゃっかりしたところもありつつ、どこかシニカルに物事を見つめているキャラクターです。最初はクールな印象があるけれど、ロズやキラリ(ロズが育てる雛鳥)と交流を重ねていくうちに、どんどん心が溶かされて素直になっていくんですよ。そんなチャッカリの変化と魅力が表現できればいいなと思いました」
―――オリジナルの方ではチャッカリ役はペドロ・パスカルさんが声の出演をされていますが、ペドロさんは声を先に収録されたそうですね。
「そうなんですよ。あまりにもアニメーションと声があっているからすごいなと思ったら、ペドロさんは映画のモデルとなっている島へ行き、そこで芝居しながら声を録っていったそうですよ、『そりゃ合うよ、ずるいよ〜』と思いました(笑)」
―――外国映画の声の吹替をする方は、英語のセリフの尺に合わせるのを苦労すると聞いたのですが、柄本さんはいかがでしたか?
「大変でしたけど、英語のセリフと日本語のセリフの文字数が合わないのは仕方がないことなので。
最初のうちは『このシーンでは、このセリフを全部言おう』と合わせていたのですが、鍛治谷功監督(日本語版演出)に『細かい作業はこちらで調整するので、柄本さんの芝居のやり方で演じてください』と言われたので、口の動きなどを気にせず、チャッカリを楽しく演じるという意識でやっていました。オリジナルにとらわれることなくできたのは鍛治谷功監督のおかげかもしれません」
―――日本語吹替版の監督と相性が良かったんですね。
「鍛治谷監督は本当に素敵な方で、現場で起こることを大切にしてくれるんです。面白い表現だと思えばOKを出してくれますが、細かい箇所は一緒に考えて答えを導き出してくれる。ふたりで考えながらチャッカリの声を探していけたのは本当に楽しかったです。鍛治谷監督とは、ぜひまた一緒に仕事をしたいですね」