柄本佑が影響を受けた声の演技
―――柄本さんは俳優として声と体でお芝居をしていますが、声だけのお芝居というのは難しいものですか?
「声で表現をするという意味では俳優も声優も変わらないと思います。僕が声の演技で感動したのは、ドラマ『ど根性ガエル』(日本テレビ系、2015)でピョン吉を演じた満島ひかりの演技です。あれは素晴らしかった。声の仕事のときはいつも満島ひかりのピョン吉を思い出します」
―――完成した日本語吹替版はいかがでしたか?
「めちゃめちゃおもしろかったです。もともとオリジナルがとてもいい映画なので、その魅力は日本語吹替版になっても変わらないし、揺るぎない作品の力を感じました。いちばん心に残ったのは、ロボットのロズの変化。ロズは最初、島の動物たちに敬語で接しているんです。でもキラリが成長して、赤ちゃんのときの声を担当した濱崎司くんから鈴木福くんに変わったあたりから、ロズがチャカリたちに対して敬語を使わなくなっていくんですよ。
最初はロボットらしく感情のない喋り方だったけれど、どんどん感情が乗っていくんです。字幕ではその変化がわかりにくいけど、日本語だと明確に変化がわかるので、ロズがイキイキしていく姿を見て、いいな〜と。
日本語吹替版の良さって、そういう微妙な変化が言葉を通して観ている人に伝わるところではないかと改めて感じました」
―――俳優の活動について伺いたいのですが、2024年はNHK大河ドラマ『光る君へ』がありましたが、出演映画の公開がなかったと思います。2025年に期待してしまうのですが、今年の活動について、やりたいこと、決まっていることはありますか?
「僕の中で明確に決まっているのは『長編映画を撮影する!』ということです。2023年に5年かけて制作した自主映画の短編集『ippo』が公開できたので、そろそろ監督作に本腰を入れようと思っています。でもまずは『野生の島のロズ』を楽しんでいただきたいですね」
(取材・文:斎藤 香)
ヘアメイク:廣瀬 瑠美
スタイリスト:KYOU
柄本佑さん衣装:
ジャケット/BOW WOW(BOW WOW)
トップス、パンツ/AURALEE(オーラリー)、その他/スタイリスト私物
【作品概要】
『野生の島のロズ』
監督・脚本:クリス・サンダース ■製作:ジェフ・ハーマン■音楽:クリス・バワーズ
原作:「野生のロボット」福音館書店刊(ピーター・ブラウン 作・絵、前沢明枝 訳)
原題:THE WILD ROBOT/アメリカ/カラー/2024年/103分/スコープサイズ/ドルビーデジタル/
字幕翻訳:林完治/吹替翻訳:桜井裕子
配給:東宝東和、ギャガ
Ⓒ2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.
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