史上最も泣ける「兄弟愛」を描いた映画は? 号泣必至の洋画5選。とにかく涙を流したい人におススメの作品をセレクト
とにかくどんなジャンルでもいいから、映画を観て泣きたい…。そんな方におススメなのは、人間の根源的な優しさを描いた、兄弟の絆をテーマにした作品である。近年屈指のスポ根ものから、北欧の名匠の代表作まで、色とりどりの作品をセレクトした。(文・シモ)
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【著者プロフィール:シモ】
東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『イル・ポスティーノ』、『パリ・テキサス』。
ジョニー・デップ×レオナルド・ディカプリオの名優同士の共演
『ギルバート・グレイプ』(1993)
監督:ラッセ・ハルストレム
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デップ、ジュリエット・ルイス、ダーレン・ケイツ、ローラ・ハリントン、メアリー・ケイト・シェルハート、ジョン・C・ライリー、クリスピン・グローヴァー、メアリー・スティーンバージェン、ケヴィン・タイ
【作品内容】
アイオワ州の小さな町エンドーラで、食料品店で働く青年・ギルバート(ジョニー・デップ)。
彼は、重い知的障害を持つ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)、夫の自殺のショックから17年間一歩も家から出られずに過ごす過食症の母ボニー(ダーレン・ケイツ)、2人の妹と暮らしている。
何もない町で、夢も希望も失いつつあったギルバートは、ある日、トレーラーを旅しながら暮らす少女ベッキー(ジュリエット・ルイス)と出会い、自分の人生を見つめなおしていく…。
【注目ポイント】
本作は、『サイダーハウス・ルール』『ショコラ』などで知られるラッセ・ハルストレム監督のヒューマンドラマである。
知的障害を抱えるアーニーを、献身的に抱える兄のギルバートは、医師に「10歳まで持たないかもしれない」と言われていた弟を、なんとか18歳になるまで支えてきた。
他に姉妹もいるが、アーニーの世話をするのはギルバートの役目だ。誰よりもアーニーを理解し、愛しているからである。
アーニーが好んでやまないトレーラーを一緒に見に行ったり、かくれんぼうに付き合ってやったり。そんな兄に、アーニーも全幅の信頼を寄せている。しかし、ある事件をきっかけに、ギルバートはアーニーを思いきり殴ってしまう。小さな町でくすぶりつづけ、外に飛び出せない自分へのやりきれない気持ちをアーニーにぶつけるように…。
ギルバートが恋人のベッキーに、アーニーを殴ってしまったと涙ながらに悔やむシーンでは、ジョニー・デップの哀しげな表情が観る者の胸を締め付ける。その表情には、アーニーと築いてきた信頼関係を自らの手で壊してしまったことの悔恨が滲んでいる。
しかし、一度離れた”兄弟の結び目”は、すぐにつながる。
「アーニーはどこだ?」「脅かすな」
いつものやりとりと2人の抱擁で、一度離れかけた”兄弟の結び目”はまた、深くつながっていくのである。
アーニーを演じたブレイク前のレオナルド・ディカプリオは、若干19歳でアカデミー助演男優賞にノミネートされるなど一躍脚光を浴びた。ディカプリオの名演ばかりが取り沙汰される本作だが、ギルバートを演じたジョニー・デップの人の良さが滲み出た自然体の芝居も素晴らしい。
脚本、演出、演技、すべてにおいて高い水準を誇る、何度観ても心温まる逸品だ。