ハイレベルなストーリーテリングだが…。

Ⓒ2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.
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 予告編には、人間の助けになる事が目的で、決して人の心を宿さないはずのロボットが目覚める、といった要素が描かれており、そのような真っ当な王道ストーリーを期待して観た本作。結果その期待を大きく上回り、強く大きな枝葉がさらに付加されてる印象を受けました。

 タイトルもそうだし、主人公はロズと先述しましたが、実はそれを主に反映してるのがキラリの存在です。キラリの成長がロズのロボットとしての成長であり、ロボットであるがゆえの制限がどうなっていくのか? 手塚治虫先生が『鉄腕アトム』などで70年前から描いてきたロボットと人間との関係。それがこの作品では生きる動物に置き換えられて、しかものちに集団で生き抜く問題も描かれます。

 ただいつも思うのですが、アメリカの作品は大作になればなるほど作家というか、参加する脚本家の人数が複数になり、良い要素を選んでつなげていくような手法が取られているように見受けられます。

 この作品も登場する多くの野生動物たちのキャラクターなど、大量の伏線が張られていて、それを上手に拾っていくハイレベルなストーリーテリングとなっています。とはいえ、それには必然的に強弱があり、観る方の天秤ばかりにはなりますが、腑に落ちない面もいくつかあって。野生のキツネチャッカリの心の動きもそうですが、いちばんなそれはロズがキラリによって愛というものを知るシーン。これが柔道で言う「一本!」判定であれば私としてはMAXな作品になるのですが。

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