2025年という分岐点
しかしながら、100人の子どもたちの声だけで未来を決めてしまうのは不十分と言えなくもない。環境活動家・作家・起業家として温暖化を逆転させる包括的な活動「プロジェクト・ドローダウン」を実践しているポール・ホーケンは作中で提言している。
「問題解決のもうひとつの決め手は女性の教育と家族計画だ」と。グローバルサウスでは女性の教育機会がまだまだ欠如している。それが貧困や格差の拡大にも繋がっている。十分な教育を受ける子どもが増えれば理想の未来に対する意見も増えていく。必ずしもそれは一方向の意見だけではないかもしれないが、子どもたちが望む未来はより解像度を上げていくだろう。
そして、家族計画。デイモン監督やわたし自身がそうだったように、多くの人が大切な人たちの未来の為に平和と安寧を願い、今を選ぶ。子どもたちもまた大人になったときに次の子どもたちが選ぶ未来を選択していく。それは人間を欲望とエゴで暴走させない為の枷にもなる。種の保存にも繋がっていく。
2025年、わたしたちは分岐点にいる。平均気温が4℃まで上昇してしまった未来か、あるいは1.5℃〜2℃の上昇で食い止めることができた未来か。
2040年、わたしの娘は23歳になる。その日はおそらくあっという間に訪れる。15年というのは決して遠い未来ではない。
解決策は、既にわたしたちの前に揃っている。
(文・青葉薫)