観る者を魅了するmiletの演技

　映画を観た率直な想いとして、ヒロインを演じた、アーティストmiletの圧倒的な魅力にも触れなければならない。映画を観た人全員が、ミナミを演じるmiletに恋をしてしまうのではないかと心配するくらい、彼女の演技は素晴らしかった。

　miletが演じた前園ミナミは、元の世界では大学生の初々しい素顔を、〈ifの世界〉では人気アーティストとしての煌びやかな顔を見せている。そして、どちらの顔もmiletが現実世界で見せている一面だと信じられるくらい、チャーミングかつリアルに映し出されていた。

　さらに、初めての映画出演とは思えないほど、表情の作り方やカノジョ感の漂わせ方を熟知していることに驚く。快活な性格とおちゃめな一面を宿した芝居は、劇場で観ていた人たちの心を否応なく射抜いたはずだ。

　また、間違いなく歌手として成功を収めると思わせる歌唱力も健在で、〈ifの世界〉で大人気アーティストに変貌していることにまったく驚きを感じなかった。それはそうだろうと。

　milet自身も歌唱シーンと会話シーンの声を使い分けている。その切り替えによって、より前園ミナミのパーソナルな魅力が引き出されていたように感じた。アーティストとしてもヒロインとしても、説得力のありすぎる演技を披露していたので、さらなる舞台での活躍にも期待してしまう。