デミ・ムーアが最適なキャスティングだったワケ。映画『サブスタンス』が突きつけた現代女性の苦悩とは? 評価&考察レビュー
text by 中川真知子
『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)などで知られる名優、デミ・ムーア。今年62歳になる彼女が、美と嫉妬に狂って破滅していく女優を演じた怪作『サブスタンス』が公開中。今回は、本作の魅力と、本作が問いかける切実な問いを徹底解説する。(文:中川真知子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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「みたくなかった」から「みれてよかった」へ
試写をしながら書き留めた筆者のメモには「みたくなかった」と何度も書かれていた。 だが、物語の中盤からは表現に圧倒され、ラストを迎える頃には「この時代によく作ってくれた」「みれてよかった」とポジティブな感想が並んでいた。
その作品のタイトルは『サブスタンス』。トロント国際映画祭やサンダンス映画祭でプレミア上映されると大絶賛され、主演のデミ・ムーアがゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したことでも大きな話題を呼んだ。
だが、華々しい受賞歴は筆者にとって意味をなさない。画面から目を背けたくなるほどの禍々しさは、きっと忘れることはできない。それほどまでに衝撃的だった。