アニメ版からの大胆な改変は意外にもアリ? 一方で見逃せないモヤモヤポイントも…実写版『白雪姫』考察&評価レビュー

text by 近藤仁美

ディズニー初の長編アニメを実写化したミュージカル映画『白雪姫』が現在公開中。レイチェル・ゼグラーが主演を務め、ガル・ガドットが女王を演じる本作は、1937年に公開されたアニメ版の名曲の数々に加え、新曲が物語を彩る。今回は、アニメ版と比較しながら魅力に迫る。(文・近藤仁美)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価】

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【著者プロフィール:近藤仁美】

クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。

実写版ならではの“主体的な白雪姫”の素晴らしさ

レイチェル・ゼグラー【Getty Images】
レイチェル・ゼグラー【Getty Images】

 ディズニーアニメの「白雪姫」といえば、1937年に公開された世界初の長編アニメーション映画だ。今回の実写版『白雪姫』は、このアニメを原作としつつも大胆な改変を加えており、ストーリーや配役など、公開前から様々な議論を巻き起こしていた。

 個人的な意見をいえば、私は実写版の方が好きだ。というのも、アニメ『白雪姫』は、主人公が基本的に“待ち”の姿勢で、「誰か愛してよ」と歌い、王子が自分を見つけ出して城に連れていくことを夢想する。これに対し、実写版『白雪姫』は、レイチェル・ゼグラー演じる姫が人との出会いで成長しながら、自分は何者であるかを徐々に獲得していく。両作の時代の違いもあろうが、新作はいわば“自ら動く”白雪姫で、大変面白く鑑賞した。

 今回の実写版では、アニメ版に関する様々な疑問も解消された。たとえば、白雪姫はなぜ昔のヨーロッパの姫には珍しいショートカットなのか。継母の女王(ガル・ガドット)が横暴に振る舞う中、父王は何をしていたのか。アニメ版の白雪姫のドレス、配色が個性的すぎやしないか……? そんな考えが浮かんだことがある人なら、本作はきっと楽しめると思う。

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