反逆者を手にかけない“邪悪な女王”

ガル・ガドット【Getty Images】
ガル・ガドット【Getty Images】

 また、昨今のポリティカルコレクトネスとの絡みか、物語がところどころぬるくなっているのも気になった。アニメでは姫の殺害をためらった狩人が代わりにブタの心臓を箱に入れて持ち帰るのだが、本作では箱の中身がリンゴに変わっている。それにより「姫を生かしてブタを殺すのか?」という点は解消されているものの、女王がしばらく姫の生存に気づかなかった理由が薄れた。

 加えて、女王はなんだかんだで反逆者を手にかけない。複数人を地下牢のごく近い位置に繋ぎ、彼らが協力したことで逃げ出されてしまう。このように、現代的でまろやかなストーリーが、“邪悪な女王”を詰めの甘い人にしてしまった。

 なお、方々で指摘されている「白雪姫の肌が白雪っぽくない」という点については、さほど気にならなかった。というのも、実写版では彼女の名前の由来は吹雪の日に生まれて生き抜いたこととされているからだ。説明なしで肌の色だけ変わったのであれば舌打ち案件(失礼!)だったが、設定そのものが違うのであれば「こんな白雪姫もありかも」と感じることができた。
 
 ちなみに、実写版の『白雪姫』に王子は出てこない。しかし、思わぬところで「白馬に乗った男性」部分が回収され、これにはちょっと笑った。

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