「“正義VS正義”の対立構造を描きたかった」映画『ベテラン凶悪犯罪捜査班』リュ・スンワン監督、単独インタビュー

画面にそのまま反映された答えのない人物像

ーーーチョン・ヘインさん演じるパク・ソヌは、正義感溢れる新人刑事というキャラクターでした。余計な説明がなくとも、人となりや行動原理が伝わりました。

「私は、パク・ソヌというキャラクターの過去を観客に見せたいという気持ちは、最初からありませんでした。もっと言えば、観終わった人に、『こういう人だったのか！』と疑問の余地なく納得させるのではなく、どこか謎めいた部分を残したいと思っていました」

ーーー観客の想像力に任せるということですね。

「チョン・ヘインさんには、明確な答えを示すというよりも、さまざまな解釈ができるような説明をヒントのような形でお伝えしました。俳優としては、演じる上で方向性を求めていたと思いますが、私が投げかけたのは、言わば“偽物の答え”だったわけです。その結果、彼の狂気じみた演技が自然と引き出されたと感じます。彼が“答えのない状況”の中で混乱している姿が、そのまま画面に定着していたのではないでしょうか」

ーーー最後に、これから映画を観る方にメッセージをお願いします。

「この作品は、今この瞬間をどう生きるか、自分自身とどう向き合うかという問いを投げかけている作品です。“答え”を提示する映画ではなく、観客が自分の中にある“正義”という価値観と向き合うきっかけになってくれたら本望です」

（取材・文：ZAKKY）

【作品概要】

4月11日（金）新宿ピカデリーほか全国ロードショー
タイトル：『ベテラン凶悪犯罪捜査班』
監督：リュ・スンワン
脚本：リュ・スンワン、イ・ウォンジェ
撮影：チェ・ヨンファン
音楽：チャン・ギハ
出演：ファン・ジョンミン、チョン・ヘイン、アン・ボヒョン、オ・ダルス、チャン・ユンジュ、オ・デファン、キム・シフ、シン・スンファン
配給：KADOKAWA 、KADOKAWA Kプラス
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映画『ベテラン凶悪犯罪捜査班』リュ・スンワン監督、単独インタビュー

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