柳楽優弥の成長を垣間見た共演エピソード
ーー柳楽優弥さんとの共演を振り返ってどうですか?
アムラ「2004年にカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した方ですから、最初は恐れていた部分がありました(笑)。実際に会ってみると、オープンマインドの人で、今は私の弟みたいな存在だと思っています。ご質問いただけたら、柳楽さんとの面白エピソードをお話しますよ(笑)」
ーーでは一つお願いします(笑)。
アムラ「柳楽さん演じるタケシとロシアの古い車に乗ってモンゴルの田舎を旅する場面があります。夜、焚き火を囲んでバンドが音楽を鳴らしています。その場面で私はモンゴルの踊りを披露しなければなりませんでした。お酒を飲むシーンだったこともあり、恥ずかしさを紛らわすために水ではなくちゃんとお酒を入れました(笑)。それで勢いを得て踊ろうと思ったのですが、一緒にお酒を飲んだ柳楽さんが代わりに踊ってくれました。本当は水のはずでしたが、寒い撮影現場で温まるのに役立ちました。短期間で撮影した作品ですが、柳楽さんが牛に乗ったり、乗馬をするうちに、徐々に本当のモンゴル人になっていく様子が見えてきました」
ーー馬泥棒であるアムラが逮捕され、タケシが置いてきぼりになり、助けてくれた女性の家でヤギのミルク酒を飲む場面などがあります。共演していない場面でも柳楽さんの成長を側で見ていたんでしょうか?
アムラ「映画の台本は私とKENTARO監督が共同で書いています。タケシが登場する場面の感情を柳楽さんがどうやって表すのか。書いている時から楽しみにしていました。特に羊の群れに向かってタケシが靴を投げて走る場面では、期待以上の演技を出してくれました」
ーー『ターコイズの空の下で』では脚本を担当され、『ハーヴェースト・ムーン』では主演と監督・脚本を兼任しています。俳優だけでなく監督を兼ねる意図を教えてください。
アムラ「自分で自分のことをコントロールしやすいからです。自分にとっては、主演と監督を兼任する方が簡単かもしれないです。監督・脚本と主演を兼ねた作品が、15エピソードあるアクション・ドラマや時代劇など、5作品あります。我々のプロダクションでは、ローバジェット作品を製作していますが、プロデューサーとしてバジェットに合わせてキャスティングやテクニカル面の手配も全て担当しています」
ーー是非、柳楽さん主演作を監督してほしいです。
アムラ「それは是非(笑)。モンゴルと日本の歴史的な設定を描く作品を映画化できるといいなと思っています」