観客の自由な解釈を尊重するオゾン監督の言葉

映画『秋が来るとき』
© 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME

 また、撮影中はひとつ屋根の下で暮らしていたらしく「本当に昔からの知り合いですから、いつも撮影をするときは昔もそうでしたけど、同じ家に住むんです。今回も同じ家に住みました。撮影初日の朝に私が台所に行き、コーヒーを飲むわと言ったら、彼は「僕はティーにする」と答え、私は苺ジャムにすると言ったら、「僕はママレードにする」と言い、2人で「今日はいい1日になるよね」と笑いながら言う。犬と猫くらい私たち違うんです(笑)」とエピソードを披露した。

 作品については、「シナリオにも書いてはいなかったのですが、本作の中で明らかとなっていないミステリアスなシーンに関して、オゾンに聞いてみたら、『僕が考えていることはどうでもいいんだよ。君が感じたことが大切なんだ』と言っていました。ですので、観客の皆さんがどう感じるかが大切なんだと思います。皆さんの経験を通してこのストーリーを自由に解釈してほしいと彼は願っていると思います」と本作は自由な解釈が大切とした。

 役作りについては、「自分が演じる人物がどういう人かを感じとることは必要不可欠だと思います。建築をする様な、少しずつ肉付けをしていくような感じで、深い人間性を取り込もうとする作業です。この人物はどういう過去があって、これからどこに向かおうとしているのかということを考えます。本作に関して言うと、シナリオを読んだとき、実は笑ってしまったのです。腹黒い人物を演じるのは私にとって快感です。共感は出来なかったのですが、俳優として演じるにあたって彼女の過去を想像して理解しようとはします。田舎町すからかなり周囲から後ろ指を指されたり、彼女は心の中に傷を抱えて生きてきたのではないでしょうか。すごく苦労したと思うんです。子供のころの思いが大人になってもずっと残っている」と解釈したという。

1 2 3
error: Content is protected !!