“最終決戦”から始まる物語

©2025PARAMOUNT PICTURES.
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 今作はサブタイトルに“ファイナル”と付いてるだけあり、まさにシリーズの集大成。そして、前作『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』(2023)から連なる2部作の後編でもあるので、もはや待ったなしのクライマックスな状況から物語が始まっていく。
 
 高度な進化型AI「エンティティ」が暴走し、各国の核ミサイル基地を掌握して人類を滅ぼす最終戦争を起こそうとしている。IMFのエージェントであるイーサン・ハント(トム・クルーズ)とチームメンバーたちは、沈没した原子力潜水艦に眠る、エンティティを破壊できるソースコードを手に入れるための「カギ」を入手。

 しかし、エンティティを武器として使おうとしているガブリエル(イーサイ・モラレス)や、事態を収拾しようと暗躍する国家情報局やアメリカ政府などが入り乱れ、先の読めない争奪戦が繰り広げられていく。仲間に危機が迫り、世界崩壊まで僅かな時間しか残されていないなか、イーサンは決死の行動と選択を迫られるのだが…。

 冒頭からすでに世界崩壊のカウントダウンが始まっており、異常な緊張感が漂う。イーサン・ハントは敵に狙われ、仲間を失い、組織からの協力も満足に得られないという絶望的な状況のなかで、いままで以上に苦しい戦いを強いられていくことになる。

 そんな状況なので、今作ではシリーズの持ち味のひとつだった、華麗なスパイたちが鮮やかなチームワークで敵を騙す、といったシークエンスがほとんど出てこない。チームがそれぞれ別行動になってしまうことが多く、イーサンがたった独りで難度の高いミッションに挑んでいくのだ。

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