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名匠が描く「官能的な西部劇」~演出の魅力

KIRSTY GRIFFIN/NETFLIX (c)2021 Cross City Films Limited/Courtesy of Netflix
KIRSTY GRIFFIN/NETFLIX (c)2021 Cross City Films Limited/Courtesy of Netflix

本作は、1967年に出版されたトマス・サヴェージの同名小説が原作のNetflix限定配信の映画作品。監督は、『ピアノ・レッスン』(1993年)で女性監督としてはじめてカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したジェーン・カンピオン。主演は、『アベンジャーズ』シリーズや『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2015年)で知られるイギリスを代表する俳優ベネディクト・カンバーバッチが務める。

本作は2021年に第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。2022年には、第94回アカデミー賞で作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚色などの主要部門ほか計11部門で12ノミネートとなり、同年度の最多ノミネート作品と注目を集めた。

世界中から絶賛を浴びた『ピアノ・レッスン』では、1台のピアノを中心に、男女の三角関係を描ききったカンピオン。そんな彼女の12年ぶりの新作となる本作はなんと西部劇である。しかしそこはカンピオン、ただの西部劇ではない。むしろ過去の西部劇を換骨奪胎し、乾いた大地を舞台としながらも、ぬめっとした感情が渦巻く作品に仕上げている。

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