映画『聖なるイチジクの種』のモハマド・ラスロフ監督も参加

(左から)モ・ハラウェ、ケイト・ブランシェット【写真:林瑞絵】
(左から)モ・ハラウェ、ケイト・ブランシェット【写真:林瑞絵】

 ハラウェ監督の長編デビュー作『The Village Next to Paradise』(2024)は、昨年のカンヌ映画祭「ある視点」部門に出品され、注目を集めた。本作をニューヨーク近代美術館で紹介したラジェンドラ・ロイは、上映回が現地で大成功を収めたことを指摘する。「観客は人間味のある映画を好みます。人々は作品の中に真実性を求め、見にきていました」と語り、今後の展開に期待を寄せた。

 参加監督の一人に名を連ねるモハマド・ラスロフの名前も目をひく。カンヌ映画祭は昨年、映画『聖なるイチジクの種』(2024)に審査員特別賞を授与し、米アカデミー賞国際長編映画賞の有力候補となったのも記憶に新しい。現在は祖国を追われドイツで活動をするイランの巨匠の作品に、ブランシェットも強い印象を受けたと語った。「『聖なるイチジクの種』は、権威主義体制下でのパラノイアと感情の破壊を描いた作品。親として、妻として、一人の人間として、深い影響を受けました。物語の展開に心を奪われたのです」

「スピード感を出して進めて行く」というブランシェットの言葉通り、短編は今年10月に撮影、12月に完成を目指す。その後は2026年1月のロッテルダム映画祭で、ワールドプレミアを飾る予定だ。

【著者:林瑞絵プロフィール】

在仏映画ジャーナリスト。北海道札幌市出身。映画会社で宣伝担当を経て渡仏。パリを拠点に欧州の文化・社会について取材、執筆。海外映画祭取材、映画人インタビュー、映画パンフ執筆など。現在は朝日新聞、日経新聞の映画評メンバー。著書に仏映画製作事情を追った『フランス映画どこへ行く』(キネマ旬報映画本大賞7位)、日仏子育て比較エッセイ『パリの子育て・親育て』(ともに花伝社)がある。@mizueparis

【関連記事】
【カンヌ現地取材】R・リンクレイター『Nouvelle Vague』が描く“映画の夜明け”。脚本家が語るゴダールとアメリカ映画との深い関係
【カンヌ現地取材】「映画を作っては反省し、次に繋げての繰り返し」是枝裕和×早川千絵、特別対談レポートル
シリーズファンが「最高傑作」と絶賛する理由は? 『ミッション:インポッシブル・ファイナル・レコニング』評価レビュー

【了】

1 2
error: Content is protected !!