ジャファール・パナヒ監督がイランに帰国!カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の快挙を成し遂げた英雄に歓声が鳴り止まず
text by 編集部
第78回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞したイランの名匠ジャファール・パナヒ監督が、イランの首都・テヘランに帰国。空港では支持者たちが歓声で出迎え、女性・命・自由といったスローガンも飛び交うなど、熱気に包まれた。イラン国外からも多数の声援が寄せられている。(文・編集部)
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22年ぶりのカンヌで栄光をつかむ
ジャファール・パナヒ監督が受賞した作品は、映画『It Was Just an Accident(2025)』。イラン国内では長らく検閲や軟禁状態に置かれ、国外渡航も禁じられていたパナヒ監督。実体験を元に制作した映画を引っ提げ、22年ぶりにカンヌ映画祭の地を踏み、見事パルム・ドール受賞の栄冠を手にした。
パナヒ監督は受賞スピーチで「すべての問題や違いを脇に置いて、今もっとも大切なのは我々の国とその自由だ」と訴え、「誰も我々にこうすべきと命じる権利はない。映画とは社会そのものだ」と強いメッセージを残した。
帰国の際、彼がテヘラン国際空港に姿を見せると、待ち構えていた支持者たちが歓声で出迎えた。中には「女性・命・自由!」と2022〜2023年の大規模抗議運動で象徴となったスローガンを叫ぶ人もいたが、大きな問題は発生せず拘束などの事態も起きなかったという。
この受賞を機に、イラン国内外で再び映画が自由の象徴として注目されることは間違いない。映画を通じて社会の声を届けるパナヒの姿勢は、今後も世界中の観客の胸を打ち続けるだろう。
(文・編集部)
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