映画『郊外の鳥たち』 は面白い? 中国映画界の新鋭チウ・ション監督作。忖度なしガチレビュー《あらすじ 考察 解説 評価》
text by 柴田悠
近年中国映画界を牽引している“中国第8世代”の一人、チウ・ションが監督を務めた映画『郊外の鳥たち』が、3月18日に公開される。本作は2018年にロカルノ国際映画祭で上映され、各国のメディアから賞賛された。2つの時間軸で進み、カフカの小説『城』を彷彿とさせるストーリーがミステリアスな本作のレビューをお届けする。(文・柴田悠)
世界の映画祭を席巻!
中国映画界の新たな才能に震撼
本作は、中国映画界の新たな才能として注目されるチウ・ションの長編デビュー作。
キャストには、アン・リー監督の実子で、ブルース・リーをテーマとした同監督の最新作の主演に抜擢されたメイソン・リー、『幸福城市』のホアン・ルー、本格的な映画デビューとなるドン・ジン、ゴン・ズーハンらが名を連ねている。
近年、『凱里ブルース』のビー・ガンをはじめ、『象は静かに座っている』のフー・ボー、『春江水暖』のグー・シャオガン、『阪南の夏』のハン・シュイ(2024年公開予定)ら、1980年代、90年代生まれの“中国第8世代”が世界の映画祭を席巻。本作の監督チウ・ションもその一人である。
大規模なトンネル工事により地盤沈下が進行し、「鬼城」(ゴーストタウン)と化した中国地方都市。そこへハオたち一行が地質調査に訪れる。ホテルに滞在しながら各地を移動し測量をする彼ら。
そんな中、ハオは廃校となった小学校の机から自分と同じ名前の男の子の日記を見つける。記録されていたのは開発が進む都市で生き生きと暮らす子どもたちの姿だった。話が進むにつれて、子供たちはひとり、またひとりと姿を消していく―。