『ディセンダント』公開10周年! 悪役の子どもたちが世界中から愛された理由とは? ケニー・オルテガ監督がヒットの裏側を語る
“もしディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?”そんなユニークな発想から生まれたディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービー『ディセンダント』。2015年の公開から10周年を迎えた本作より、ケニー・オルテガ監督がヒットの真相を振り返った。(文・編集部)
『ディセンダント』10年の軌跡
今年、ついに映画公開から10周年を迎えた『ディセンダント』(2015)は、放送当時、テレビ映画でNo.1の視聴率を記録し(続編の『ディセンダント2』(2017)と『ディセンダント3』(2019)も同様)、3作すべてのサウンドトラックはビルボードチャートで1位を獲得。ミュージックビデオはYouTubeとVEVOで70億回以上の再生回数を記録し、その後も短編アニメーションシリーズ『ディセンダント キケンな世界』(2015)や実写の『ディセンダント ショート・ストーリー/アンダー・ザ・シー』(2018)などが続々と公開され、国境や世代を超えてファンを魅了し続けている。
2024年に公開されたファン待望の4作目『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』では、ディズニー・チャンネルとディズニープラスで視聴率記録を更新し、シリーズに新たな歴史を刻んだ。さらに、2026年には『ディセンダント:ウィキッド・ワンダーランド(原題)』の公開が予定されている。
ディズニー悪役の子どもたちがなぜ世界を魅了したのか?
今回公開されたのは、本シリーズで、監督、振付師、エグゼクティブプロデューサーを務めたディズニー・レジェンド、ケニー・オルテガが、本作を振り返るインタビューだ。
―――当時、ディズニー・チャンネル・ワールドワイドのプレジデント兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーのゲイリー・マーシュが『ディセンダント』の監督をあなたに打診した時、この作品がフランチャイズへと成長し、今日の世界的ブームを巻き起こすと想像していましたか?
「ゲイリーから久々に電話があり、彼はこう言ったんだ。「ケニー、私は『ディセンダント』という映画を開発しているんだ。脚本はジョサン・マクギボンとサラ・パリオットが担当し、ディズニー・キャラクターの子どもたち、善と悪の両方を題材にしているんだ」私は「やるよ!」と即答したのですが、彼は笑って、「まず脚本を読んでほしい。他の人にはまだ見せていないけど、この作品はケニー、君が適任だと思う。」と言ってくれたのです。
そして、ゲイリーは脚本を送ってくれました。私はすぐに読み、とてもワクワクしたのを覚えています。このプロジェクトにコミットした瞬間、ディズニーの映画監督として既に抱えている責任の上に、さらに大きな責任がのしかかっていることに気づきました。これらは世代を超えて愛されてきた伝統的なキャラクターたちで、そんな彼らの子どもたちを活躍させる役割を任された——だから、絶対に失敗できない。少しプレッシャーも感じながら、このプロジェクトに取り組むことになりました」
―――あなたが手掛けた『ハイスクール・ミュージカル』トリロジーや『チーター・ガールズ2』(2006)での成功を考えると、ディズニー・チャンネルからヒットフランチャイズを生み出す秘訣あるのでしょうか。
「すべてのプロジェクトには、私にとって大きな可能性を秘めた要素があります。単なるエンターテイメントを超えるものとして、若者に語りかけ、力づけ、影響を与え、感動を届けるもの。プロデューサー兼監督として、全員が安心してリスクを取れる環境を作り出すことが重要でした。出演者たちが周囲や世間からジャッジされることなく、心置きなく演じられること。それが成功するために非常に重要な要素でした」
個性的なディズニー・キャラクター
―――本質的に、なぜ『ディセンダント』やその続編のキャラクターや曲、そしてストーリーの教訓が、長年多くの人々に愛され続けているのでしょうか。
「描かれるキャラクターたちは、本当に個性的なディズニー・キャラクターの親から生まれたような存在でした。私たちの誰もが——出演者たち、スタジオのスタッフ、そして私自身——が、ヴィランズの子どもたちを本物らしく感じられるように試行錯誤しました。マレフィセントの娘は本当に信頼できるのか? ジャファーの息子、悪の女王の娘、クルエラの息子は善になれるのか? 私たちはそれらを決める前にワークショップを行いました。私たちは時間をかけて遊び、即興し、バックストーリーを創造することに大きな時間を費やしました」
監督が明かす演出の舞台裏
―――プロデュース、監督、振付と、多くの役割をこなすのはどのような経験でしたか。
「すべてを同時にこなすのは本当に大変です。脚本作成、スタジオとの音楽開発、レコーディングセッションへの参加も並行して行っていました。裏方でのキャスティングからカメラの前での演出まで全て自分で手がけていました。ですが私の年齢ではできないダンスの動きもあるので、常に強力な振付師のチームを招き入れました。
『ディセンダント』シリーズでは、素晴らしい振付師たちが参加し、そこに優秀なアシスタントも参加。振付師たちと私は強いパートナーシップを築き、物語を深く掘り下げ、努力を重ね、振付を通じて物語が前進するように取り組みました。なぜなら、振付は台詞の代わりとなる“声”だからです。キャラクターと一緒に物語を進行させて観客たちを物語が始まる前とは異なる世界に連れて行かなくてはなりません。それは本当に楽しいプロセスです」
『ディセンダント』が10年愛される理由
―――『ディセンダント』は大ヒットし、さらに2つの続編が制作されました。オリジナル作品の成功をうけ、作品ごとに期待を越えないといけないプレッシャーをどのように捉えていましたか。
「私たちはただ物語を語り続けることだけを意識していました。物語さえしっかりとしたものがあれば、大丈夫だと考えていたのです。脚本家のサラ・パリオットとジョサン・マクギボンは、私や俳優たちとアイデアを練ることにオープンでした。私たちは前作を超えることを目指したわけではなく、スタジオやスタッフからの支援もあり、ただ良いものを作り続けたい一心で作品と向き合い続けています」
―――ディズニープラスで配信されることで『ディセンダント』シリーズが10年後に新たな観客層を獲得したことはなにを意味しますか。なぜこれらの物語は今も共感を呼ぶのでしょう。作品の本質に宿る、存在すべき大きな理由とは何ですか?
「世界の色々なところで、誰かが私に近づいて「ケニー! あなたは私が子どもの頃のサウンドトラックを作ってくれたよ。これがなかったら、私は乗り越えられなかったと思う」と伝えてくれます。私は本当に感謝しています。私にとって最も重要なのは、ファンとつながることです。彼らが何を求めているのか。彼らが望むもの、期待するもの——そして、彼らが知らないうちに必要としていたものを与えること。私は常にファンのことを考えています。彼らが共感し、興奮し、一瞬のエンターテイメントを超えるものとは?彼らが振り付けを覚えたくなるだけでなく、観たあとに深く考えさせられるような体験を届けたいのです。この作品はファンへの敬意そのものです。彼らが存在することへの感謝の証で、ファンの皆さんがいなければ、いまの私たちはここにはいないでしょう」
【作品紹介】
おとぎ話も世代交代!? 主役はディズニーヴィランズの子供たち! ディズニーヴィランズたちは、魔法のバリアで覆われたロスト島に閉じ込められていた。しかしマレフィセントの娘マルをはじめとするヴィランズの4人の子供が、あるきっかけから善人の住むオラドン合衆国のハイスクールに転校することに。
マレフィセントは、自分たちを島に閉じ込めた善人たちへの復讐を企て、子供たちにオラドンで“あるもの”を奪うよう命じるが…。ヴィランズのみならず、ディズニー・キャラクターとその子供たちが続々登場!
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【了】