映画『グラン・ブルー 完全版 4K』“男同士の友情と軋轢”を描いた壮大な人間ドラマ『国宝』『覇王別姫』との共通点とは?
リュック・ベッソン監督の原点にして頂点との呼び声も高い『グラン・ブルー 完全版』。本作は、潜水の腕を競うフリーダイビングに情熱をささげる2人の男の物語。8月29日(金)に控える全国公開を前に、映画史に残る傑作『グラン・ブルー』と『国宝』、『覇王別姫』の共通点について深掘りしていく。(文・編集部)
映画史に残る名作の共通点
現在、歌舞伎の道に人生を捧げた2人の歌舞伎役者の半生を描いた壮大な一代記『国宝』が今年の実写映画では異例の大ヒットを記録。観客の口コミを後押しに破竹の快進撃だ。李相日監督が『国宝』を手掛けるにあたり、2人の京劇俳優の50年に渡る愛憎を描いた『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)から影響を受けたことを公言した。
そんな、「男同士の友情と軋轢」を描いた壮大な人間ドラマかつ映画史に残る記録を打ち立てた作品として数々の共通点を持つのが『グラン・ブルー』だ。
本作は、潜水の腕を競うフリーダイビングに情熱をささげる2人の男の物語。海面の光さえも届かない、限りなく深い海が広がる “グラン・ブルー”を追い求める姿が描かれる。1988年にフランス全土で公開され1000万人以上を動員する大ヒットを記録。若者達の絶大な支持を集め、「Grand Bleu Generation」と呼ばれる社会現象にまでなった。これまでに様々なバージョンが劇場公開され、世界中で愛され続けてきた不朽の名作だ。
『国宝』で主人公、喜久雄を演じた吉沢亮は撮影期間を含め、歌舞伎の稽古には1年半を費やしたとインタビューで語っているが、『グラン・ブルー』でダイバーを演じたジャン=マルク・バールとジャン・レノも膨大な量のトレーニングを積んで撮影に臨んだという。
ジャン・レノはかつてインタビューで「深海での経験は男を変える。一息だけの空気を吸い込み、夜の海に潜るのは忘れられない興奮だ。陸の上で撮影している時、海を見つめていると、またその時の興奮を味わうために潜りたくなる。ひとつだけわかっていることは、撮影が終わってもマスクと足ひれは家の隅に置いておくつもり。あの夢を見続けるためにね」と語ったほどだ。
『グラン・ブルー 完全版』『国宝』『さらば、わが愛/覇王別姫』。いずれも3時間弱の⻑尺作品であるが、名優たちの「役者人生の集大成」ともいえる演技がスクリーンを超えて観客の胸を強く打ち、異例の大ヒットにつながったともいえるのではないだろうか。さらに、4Kリマスター版として、“深淵のブルー”が本物の輝きを放つ『グラン・ブルー 完全版 4K』をこの夏スクリーンで体感してほしい。
【作品概要】
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン、ロバート・ガーランド
製作:パトリス・ルドゥー
撮影:カルロ・ヴァリーニ
音楽:エリック・セラ
キャスト:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノ
1988年/フランス/カラー・モノクロ/5.1ch/シネスコ/フランス語・英語/168 分/原題:Le Grand Bleu/字幕: 古田由紀子/映倫 R15+
配給:KADOKAWA
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