歌でメッセージを届ける。
ライル役・大泉洋による魂の歌声
本作を語る上で特筆したいのは、ライルがセリフを発さず、歌でメッセージを届ける存在であるという点だ。筆者は日本語吹き替え版で鑑賞したが、ライルの声を担当した大泉洋による味のある歌声がとにかく素晴らしい。
歌声だけ聴くと、多くの人が大泉洋の声であるとわからないのではないだろうか。大泉はこの「歌声」のみの役柄に説得力を持たせるため、ハイトーンが出せるように、ヴォイストレーニングに励んだという。大泉洋の芸達者ぶりと新しい一面を堪能できるという点で、日本語吹き替え版での鑑賞を強くお勧めしたい。
最後に筆者が個人的に感じた、惜しいポイントを2点ほど挙げたい。ジョッシュとライルの間にもう少し、友情と絆が生まれるエピソードがあってもよかったのではないだろうか。客前で歌えなかったというライルに対し、ジョッシュが「キミが歌えても歌えなくても、僕にはどっちでもいい。キミは最高だから」と慰めるシーンはあるが、若干、唐突に思え、彼らの関係性が希薄に感じられてしまった。
また、中盤にライルが鶏獣管理局に捕獲されるという展開はあるのだが、決定的な離別が描かれることはないため、泣けるポイントがやや少ないのも気になるところだ。とはいえ、離別シーンがあればいいという単純な話ではなく、泣ければいいということでもないだろう。
何はともあれ、本作がとにかく笑え、ライルと共に歌って踊りたくなる、第一級の娯楽作であることは間違いない。ぜひ映画館に足を運び、大きなスクリーンと大音響で味わってほしい一作だ。
(文・ZAKKY)
3月24日(金)全国の映画館で公開!
【作品情報】
■監督:ウィル・スペック&ジョシュ・ゴードン
■脚本:ウィル・デイヴィス
■オリジナル・ソング&エグゼクティヴ・プロデューサー:ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール(『グレイテスト・ショーマン』『ラ・ラ・ランド』)
■原作:バーナード・ウェーバー「ワニのライルのおはなし」シリーズ(大日本図書)
■声の出演<字幕版>:ショーン・メンデス(ライル役)
■出演:ハビエル・バルデム(『ノーカントリー』アカデミー賞®助演男優賞受賞、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』)、コンスタンス・ウー(『クレイジー・リッチ!』)、ウィンズロウ・フェグリー(『名探偵ティミー』)、スクート・マクネイリー(『バットマン
vsスーパーマン ジャスティスの誕生』、「ナルコス:メキシコ編」シリーズ)、ブレット・ゲルマン(「ストレンジャー・シングス」シリーズ)
■声の出演<日本語吹替版>:大泉洋(ライル役)/石丸幹二(ヘクター役)/水樹奈々(ミセス・プリム役)/関智一(ミスター・プリム役)/宮岸泰成(ジョシュ役)
■配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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