爆死ポイント③ 『聖闘士星矢』である意味がない
酷評にさらされている本作。本レビューでも厳しい見解を示してきたが、「原作レイプ」と言われるほどヒドくはない。
『聖闘士星矢』を知らない観客に対して、その設定を物語をうまく現代的に落とし込んていると思う。ただ、そのおかげで芯がないというか、全体的にボンヤリしてしまったのも事実で、もはや『聖闘士星矢』じゃなくても成立するような作品になっている。
そもそもストーリーの中心が、アテナの生まれ変わりのシエナと、彼女を拾った夫婦の家族喧嘩なので、主役である星矢はその周辺をウロウロしているだけ。
『聖闘士星矢』らしさを表現するのに最適な「聖衣」の装着シーンも、タメがなくてアッサリ進行。その際に、世界的に有名なアニメ版の主題歌『ペガサス幻想』がインストで流れるが、ここは唐突でもいいから、歌付きのオリジナルが聞きたかったところだ。
そしてなによりも、原作に漂っていた車田正美の熱いテイストがどこにもない。やっぱり必殺技を決めるときは技名を叫んでほしいし、ボロボロにやられたときは、腫れ上がった顔でフっと笑ってほしい。