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映画『トップガン マーヴェリック』が大ヒットした理由②

10分に一度山場が訪れる!
娯楽映画のネクストレベルに達したストーリー

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『トップガン マーヴェリック』が多くの観客を惹きつけている理由は、革新的な映像スタイルだけにとどまらない。前作とのつながりを多分に残した、骨太のストーリーも高い評価を得ているのだ。

娯楽映画のシナリオには、必ず「起承転結」がある。「起」は状況の説明、「承」は物語のはじまり、「転」では事件の解決や急展開、「結」で物語の終わりが描かれる。『トップガン マーヴェリック』の起承転結は下記のとおりだ。

「ダークスター計画」に挑むマーヴェリック(トム・クルーズ)。目標のマッハ10を突破するも、機体を台無しにしてしまう。海軍をクビになるかと思いきや、かつての古巣「トップガン」に左遷される。

マーヴェリックは教官として若いパイロットの育成に励むことになる。教え子の中には、かつての相棒グースの息子・ルースター(マイルズ・テラー)がいる。2人の確執と過酷な訓練模様が描かれる。

盟友・アイスマン(ヴァル・キルマー)の死を受けて、教官をクビになったマーヴェリック。しかし、テスト飛行で圧倒的な実力を見せつけ、パイロットとして作戦に参加することに。

先頭で若いパイロットを引っ張るマーヴェリック。幾度ものピンチに見舞われながらも、ルースターと力を合わせ、危機を無事乗り切る。

起承転結をまとめた上記の文章を読むだけでも、メリハリの効いたグッドストーリーであることがわかるだろう。しかし、『トップガン マーヴェリック』の真の面白さは、起承転結では計れないところにある。

たとえば、クライマックスにあたる「結」の部分だけでも、

①敵機に撃ち落とされ、絶体絶命のピンチに陥ったマーヴェリックをルースターが救う
②敵陣に潜入し、かつての愛機・F-14戦闘機を奪って自陣を目指して飛び立つ
③最新鋭の敵機に追いつかれ、撃墜されそうになるも、ギリギリのところで味方・ハングマン(グレン・パウエル)の援護によって危機を脱する

このように、3つもの見せ場が用意されているのだ。「結」の中に「起承転結」のすべてが詰まっていると言ってもいい。その密度たるや圧倒的である。さらに、前作をリアルタイムで観ている人であれば、トム・クルーズが登場する「起」の時点で、盛り上がりは相当な高みに達することだろう。

実際筆者は、②の時点で大盛り上がり。③にいたると、満足を通り越して、ただただ呆然。多くの映画館で終映後に拍手が巻き起こったのも納得である。『トップガン マーヴェリック』は、起承転結を鉄則とする従来のハリウッド映画から見事に離陸し、ストーリー面でも、一段高いレベルの面白さを体現しているのだ。

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