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「死後も映画俳優のキャリアを続けられる」俳優トム・ハンクスがAI技術と映画の未来を語る。新作でディープフェイク技術を使用

text by 編集部

目覚ましい進歩を遂げているAI技術。ここ最近、映画業界でも議論を巻き起こしており、ハリウッドでは脚本家によるストライキが起こるなど問題となっている。そんな中、俳優トム・ハンクスは最近のAI技術に関する意見を述べた。俳優目線から見たAIの利点とは? 現地のメディアを参考に、その詳細を確認していく。

トム・ハンクスが若返った姿で登場
AIによって蘇る生命

俳優トムハンクスGetty Images

ハリウッドでは脚本家ストライキの真っ只中で、多くのスタジオがプロジェクトを進行するために技術的なAIを駆使したツールの使用を検討している中、AIの問題は日に日に増している。

米Movie Webによると、来年に俳優トム・ハンクスは映画『フォレスト・ガンプ』の監督ロバート・ゼメキスと再タッグを組み、AIディープフェイク技術を使用し、俳優を若返らせる映画『Here(原題)』を制作するようだ。

また、ジェームズ・マンゴールド監督のチームが俳優ハリソン・フォードを人工的に若返らせた映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』も今年公開され、観客は同様の技術を使用した作品を視聴することができる。

それに対し俳優トム・ハンクスは、俳優キャリアの終了は、もはや“死”とは無関係で、AIやディープフェイクの技術により死後も俳優を継続することが可能と予想し、米varietyによると以下のように話したようだ。

「AIやディープフェイク技術により、誰でも、何歳になっても自分自身を再現できるようになった。私の肉体は明日バスに轢かれたらお終いですが、私の演技はスクリーンで延々と生き延びることができます」

『Here(原題)』は2014年に出版されたリチャード・マクガイアの同名のグラフィックノベルが原作の作品。原作は、窓と作りつけの暖炉のほかには何もない部屋の一角を舞台に、紀元前から遥か未来に至るまで、その空間を彩った住人たちとそこで起きた無数の出来事を、たった6ページで描いている。

現在映画業界でどのようにAIが使用されているかを示す例として、テレビドラマシリーズ『マンダロリアン』の第2シーズンに若きルーク・スカイウォーカーが登場したことが挙げられるだろう。これはテクノロジーによって可能となったファンへの素晴らしい贈り物である。

また、俳優ブルース・ウィリスもまた、失語症と診断された後、こうした進歩を受け入れた一人だ。ブルース・ウィリスは、将来、演技ができなくなっても作品の視覚部分に付随する音声とともに、何らかのデバイスで表示できる一連の関連画像である視聴覚作品(AV作品)で自分の存在が出演し続けられるように、自身の肖像権を売却する動きに出た。

ディープフェイク技術の利用は、このように映画業界を盛り上げる事象が起こることは確かだが、その全てが称賛されたわけではない。例えば、2020年の戦争映画『Finding Jack(原題)』では、ハリウッドの象徴である俳優ジェームズ・ディーンが復活した。しかしこの若くして亡くなった伝説的俳優の家族が合意を得たにもかかわらず、映画ファンや一般視聴者から大きな批判を浴びたのだ。

また、AI技術は、シナリオ執筆に利用できるため脚本家にとって脅威の存在となっている。実際『サウスパーク』は最近、最も人気のある人工知能の1つであるChatGPTが共同執筆したエピソード「Deep Learning(原題)」でそれを実現している。

この先映画業界がAI技術によりどのように変化するのかは大変興味深い。『サウスパーク』のエピソード「Deep Learning(原題)」を視聴すると、AI技術が映画にもたらす影響がより深く理解できるだろう。興味がある方はぜひ一度視聴してみてほしい。

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