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謎めいた結末…父の秘密とは? 映画『aftersun/アフターサン』は面白い? 物語を深掘り解説。忖度なしガチレビュー

text by 島晃一

傑作を次々と手がけるスタジオA24が北米配給権を獲得。昨年末、複数の海外メディアが<ベストムービー>に挙げた話題作『aftersun/アフターサン』が公開中だ。子供の成長を描くと同時に、男性の弱さについて問いかける。複数の解釈に開かれた本作の魅力をひも解くレビューをお届けする。(文・島晃一)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

複雑な思いを抱えた親子
現在と過去が交差する大胆な構成で描く

© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The<br />British Film Institute &amp; Tango 2022
© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The
British Film Institute & Tango 2022

『aftersun/アフターサン』は、1987生まれの新鋭、シャーロット・ウェルズが監督・脚本を務めた長編デビュー作。2022年カンヌ国際映画祭で上映されると瞬く間に話題となり、A24が北米配給権を獲得。『ムーンライト』(2016 年)を手がけたバリー・ジェンキンスは脚本に惚れこみ、プロデューサーの一人に名を連ねている。

また、英国アカデミー賞では新人賞に輝くなど、70以上もの映画賞受賞を記録。主演のポール・メスカルは、第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たした。既に各地で絶賛されている注目作だ。

タイトルの”aftersun”は、日焼けの痛みを和らげるために塗る保湿クリームを意味する。劇中には、プールサイドでクリームを塗る親子を捉えたショットがある。

舞台は1990年代後半の夏。11歳のソフィ(フランキー・コリオ)が、普段は離れて暮らす父カラム(ポール・メスカル)と共に、トルコのリゾート地を訪れる。娘ソフィともうすぐ31歳になるカラムは、互いにビデオカメラを向け合い、親密な時間を過ごす。

明るいホームドラマのようだが、時制が変わり、31歳になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)が登場すると、作品の雰囲気はガラッと変わる。在りし日の父の映像を見つめるソフィからは、20年前の記憶を呼び起こしている様子が窺える。しかし、その表情は明るくはない。現在、同性のパートナーと子供と共に暮らすソフィは、当時の父が抱えていた痛みを理解しようしているのだ。

本作は、子供の成長を描くと同時に、男性の弱さについて問いかける。そして、巧みな映像表現と脚本、繊細な演技によって、成長の喜びと大人が抱える不安とを共存させている。

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