夢の街の裏社会を描いた傑作ノワール〜演出の魅力
ハリウッドを擁するロサンゼルスは、夢を追い求める人たちが集まる街であるとともに、全米屈指の犯罪率を誇る街でもある。本作は、そんなロサンゼルスの闇を描いた作品だ。タイトルの「コンフィデンシャル」は、日本語で「機密事項」を意味する。
監督は『8 Mile』(2002年)『激流』(1994年)のカーティス・ハンソンで、原作は「アメリカ文学界の狂犬」と呼ばれたジェイムス・エルロイの「暗黒のL.A.4部作」内の同名小説。ジャック役をケヴィン・スペイシー、バド役をラッセル・クロウ、エクスリー役をガイ・ピアーズが演じる。
アカデミー賞では、同年に公開された『タイタニック』と賞レースを争った本作。結局、賞レースを制したのは『タイタニック』だったが、ジャーナリストからは異議が噴出。後年、全米映画批評家協会賞をはじめ、数々の賞を獲得している。
そんな本作の特徴は、脚本、映像、配役、音楽と、あらゆる要素が極めて高い水準で達成されていることだろう。それでいて、無駄がなくソリッドで一貫してピンと張り詰めた緊張感に包まれている。
なお、1997年の公開当時、ノワール(犯罪映画)は終わったジャンルとみなされており1500万ドルという低予算での制作を余儀なくされた。本作の名声は、スタッフ・キャストが優秀なら、予算に関係なくいい作品が作れるという事実を証明する形になったのだ。