ハードボイルドなアクションシーン〜映像の魅力
本作の映像の特徴は、なんといっても主人公と犯人の迫力あふれるアクションシーンだろう。
特にバドたちがギャングたちを得揮発するシーンでは、バドたちが銃を乱射するシーンや味方の刑事が撃たれるカット、隙を狙って犯人が逃走するカットなど、個々のカットを細切れに提示し、めまいを起こすような視覚的快楽が感じられる。
極めつけは、エクスリーとバドが黒幕の一味と戦うラストの銃撃戦だろう。立てこもった廃屋がみるみるハチの巣になっていく中、二人が銃痕から射す月の光を頼りに暗闇の中の刺客と戦うシーンは、瞬きも忘れて見入ってしまうこと請け合いだ。
銃撃戦以外のシーンからも目が離せない。エクスリーたち刑事が“足で稼ぐ”さまをスピーディーなテンポで魅せる展開は、ハードボイルドな刑事ドラマの醍醐味といえるだろう。
また、徹底した時代考証に基づいた衣装や美術も必見。とりわけ、『真実の行方』(1996)で知られるジニーン・オプウォールは、スラム街や高級住宅街、社交界など、1950年代ロサンゼルスの雑多な雰囲気が細部に至るまで生々しく再現されており、どっぷりと作品世界に没入できる。