どんな映画? 安心して欲しい『ザ・フラッシュ』はわかりやすい! バットマンの登場は…DC流マルチバースを解説&考察
text by 灸 怜太
『ジョーカー』(2019)をはじめ数々のヒット作を生み出してきた DCコミックス。その最新作にして集大成となる『ザ・フラッシュ』が公開中だ。マーベル諸作でお馴染みのマルチバースを導入したことで話題の本作は面白い? つまらない? 忖度なしのガチレビューをお届けする。(文・灸 怜太)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
ハリウッド映画が紡ぎあげてきた娯楽要素をシェイク
公開前から映画関係者やアメコミ・ムービー好きから絶賛され、前評判が高かった『ザ・フラッシュ』。
しかし、全米の興行収入は予想を下回り、大ヒットスタートとは言えない結果になったようだ。日本でもアメコミ映画は食傷気味で、わざわざ映画館まで行かなくても、と思っている人も多いかもしれない。
確かにマーベル、DCは、それぞれのユニバースで複雑な歴史を重ねてきており、テレビシリーズも含めて膨大な作品がある。そのすべてをチェックして、設定を理解していないと、お話についていけないのでは…と躊躇している者もいるだろう。
しかし、結論から先に言ってしまえば、『ザ・フラッシュ』はDC作品に馴染みのない人でも存分に楽しめる。
アメコミヒーロー的なカタルシス、最先端のアクション描写、SF的な知的興奮、クスっと笑えるコメディ要素、そしてなによりもエモーショナルなドラマ…。『ザ・フラッシュ』は、ハリウッド映画が紡ぎあげてきた娯楽要素をシェイクしたような複雑だけど爽快な一本に仕上がっている。
まず、「フラッシュ」というヒーローに対して、何も知らないという人。安心してほしい。映画が始まって数分で主人公バリー・アレンがどういう人物なのか、フラッシュがどのような特殊能力を持っているのかが丁寧に説明される。
さらにタイトルロゴが出る所で、本作が肩肘張らないで観れるコメディですよ、ということすら示唆してくれる。