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『ザ・フラッシュ』が描く“混乱しないマルチバース”

(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (c) & TM DC
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そして、さらなる懸念ポイントが、「マルチバース」についていけないのではないか、ということだろう。

別個の映画が同じ世界感を共有し、各キャラクターが行き交う『クロスオーバー」という概念はまだわかる。さらに、そこに「マルチバース」が入ってくると、「ちょっと何言ってるかわからない」と混乱してしまうという人はいるだろう。

でも、安心してほしい『ザ・フラッシュ』におけるマルチバースは、いわゆる「タイムスリップ」を軸としている。時間を遡って改変してしまったことで、タイムパラドックスが起こり、違う世界が生まれてしまったという流れになっている。

これが意外とすんなり受け止められる。過去で何かすると現在に影響があるというタイムパラドックスの基本的な考え方は、日本人なら『ドラえもん』などで鍛えられており、また、今作の劇中でも言及される『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をはじめとしたタイムスリップものの映画群のおかげでなんとなく理解できるのだ。

『ザ・フラッシュ』では、バリー・アレンが母親の死を止めるため、超スピードで時空を超え、歴史を変えようとする。そこで起きてしまったことが物語の軸となるのだが、このパートは基本的にコメディ路線。

バリーは、歴史が改変された世界で育ったもうひとりのバリーとタッグを組むことになるのだが、ここにクスっと笑える小ネタが満載。さらに友情と成長要素もあり、グっとくる展開も待っている。

あまりに自然なので意識しないで観てしまうが、2人のバリーを見事に演じ分けたエズラ・ミラーの実力も称賛したい。

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