地獄のような作曲風景に密着
孤独な創造の戦いに挑む姿に胸が締めつけられる
そして映画は、韓国でのSUGAの地獄のような作曲風景を追いかけていきます。思えば、これまでのBTSのドキュメンタリーでも、ホテルの部屋にいるSUGAは常に作曲に没頭していました。
そして春川、という文字が出ると、思わず「あ!」って声が出ました。春川は、コロナ禍で製作されたBTSのリアリティー番組「BTS In the Soop」のロケ地として知られる場所です。
「BTS In the Soop」は、多忙なBTSが森の中のおうちでメンバーだけのゆったりした時間を過ごす姿を追った番組。同番組でもSUGA は、たったひとりキャンピングカーにこもっていたのですが、本作では、当時彼が、ソロアルバムの収録曲「AMIGDARA」」を製作していたことが明らかになります。
しかもここにスペシャルゲストが登場!曲作りをしているSUGAのもとに、サラサラヘアーかきあげジミンちゃんが「怒涛の曲作り中?」とやってきます。ヒョンの隣にちょこんと座ったジミンに新曲「AMIGDARA」の一部分を聞かせてあげて、タイトルも「AMIGDARA」っていうんだよと言います。(このとき「あ、あみぐだら?」とたどたどしく聞き返すジミンのかわいさよ!)。
こんなときからこの人は、このアルバムと悪戦苦闘していたのか、と曲が完成するまでの長い歴史を感じさせます。その後も、スタジオの中で髪をかきむしり、「うあああああああ」と雄叫びをあげ、ソファにパンチし、「ちきしょー!」と叫びまくる、荒れ狂う曲作りはとにかく壮絶でSUGAの孤独な創造の戦いはどこまでも続きます。
スクリーンに向かって、「寝てくれー!」ってこっちまで叫びそうになるほど、苦しすぎる制作過程。自分の内面と向き合いながら、ときに深いところまで傷を抉り出しながら曲を作る姿は本当に苦しい。
これはJ-HOPEも同じことを言っていたけれど、彼らは十分に成功しているし、お金だって持っています。だからこんなに苦しい思いをしてまで本当はアルバムだって作らなくていいはず。それでもひたすらに作り続けるのは、音楽への愛と「届けたい」という気持ち、そしてARMYへの想い。たくさんの苦悩と戦う姿、そして彼が語る歌に込めた想いなど、多くの葛藤や想いとともに完成した収録曲のパフォーマンスシーンは胸がキューーーッてなるのです。