殺し方が胸クソ悪すぎ!
原作は何処へ…。
数ある胸クソシーンの中でも、極めつけはプーさんが口に含んだ大好物のハチミツを、女性の1人にわざわざ吐きつけ、殺しにかかる場面だろう。ここまで来ると、監督は原典を気持ち悪く描写することに、躍起になっているということが否が応でも伝わる。
さらにその後、急展開が受けている。女性チームは、プーさんに縄で縛られ、顔面が血まみれという何とも痛々しい姿の女性Aに遭遇する。そして、縄をほどかれたその女性Aはなぜか、目の前に現れたプーさんに反撃し始める。
筆者は、思わず「そんなことする前にまず逃げろや!」と思ったものだが、それはそれで人間が咄嗟に起こす心理としてあるものなのかもしれない。とはいえ、結局、この女性Aも惨殺されてしまうのだが…。さらにさらに、驚くべき展開は続く。
逃げまとう女性チームの生き残った2人が、たまたま車で通りかかった、売れないバンドマンのような風貌のおじさん4人と接触し、助けを求めるのだが、何が不自然かと言うと、女性チーム2人を車に乗せてさっさと逃げればいいものを、4人のバンドマンみたいなおじさんたちはハンマーなどを取り出し、プーさんに敢然と立ち向かうのだ。助ける対象が若い美女たちであったから、かっこいい姿を見せたかったのだろうか?
案の定、売れないバンドマンみたいなおじさんたちは、プーさんたちに抹殺されてしまう。「この人たちが一番可哀そう」であると思うと同時に、中年男性のマチズモ(男っぽさ、男性優位主義)を徹底して揶揄する、リース・フレイク=ウォーターフィールド監督の一貫した姿勢がここでも見受けられるという点は指摘しておいてもいいだろう。