何が面白い? 話題を呼ぶ理由は? 映画『マッド・ハイジ』徹底考察。クララを演じたハーフ美女とは? 忖度なしガチレビュー
text by 灸 怜太
約3億の制作費をクラウドファンディングで集め、”エロとグロだけ”を詰め込んだ映画『マッド・ハイジ』。深いテーマは一切なし! 観客が求めることだけに応えた展開は好きな人にはたまらない…。今回は、本作の見どころを深掘りしたレビューをお届けする。(文・灸 怜太)【あらすじ キャスト 解説 考察 声優 評価 レビュー】
エクスプロイテーション映画とは何か
あの『アルプスの少女ハイジ』を、血まみれエログロ映画に仕立てる…!
実際に企画をアナウンスしてからクラウドファンディングで資金を募り、約2億9000万円もの資金を調達して作られたというから、それだけ世界中に“わかっている”ファンが存在するということだろう。
もちろん製作側も“共犯”で、プロダクションの名前が『スイスプロイテーション フィルム』。本作はスイス映画史上初のエクスプロイテーション映画を標榜している。
エクスプロイテーション映画とは、観客のカネと好奇心を「エクスプロイト=搾取する」という意味で、深いテーマなど無視して、セックスや暴力、奇異な文化や風俗などを全面に押し出した、極めて商業的な映画のことを指す。
こうした作品は90年代くらいから発掘、再評価が進み、ジャンルに造詣の深いクエンティン・タランティーノが『ジャッキー・ブラウン』(1997)『キル・ビル』(2003)などでオマージュを捧げ、ロバート・ロドリゲスと組んだ『グラインドハウス』(2007)などは、まさにエクスプロイテーション映画の再構築とも言える試みだった。