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ハイジとペーターのベッドシーンからスタート

マッド・ハイジ
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『マッド・ハイジ』も、エクスプロイテーション映画の文脈上にある。となると、やることは決まっている。

土台となるのは次の3つのファクターである。「アルプスの少女ハイジ」、「スイス」、そして「チーズ」。ここに、セックス&バイオレンス、そしてあらゆるエクスプロイテーション映画の作法をグラインドしてブっかける。

オープニングから、パラマウント風のマッターホルン(アルプス山脈に属する名峰)のロゴが登場、フィルムノイズの入ったレトロな加工を施して雰囲気を盛り上げ、ハイジとペーターのベッドシーンからスタートと、観客の期待に真摯に応えていく。

原作では、白人である山羊飼いの少年・ペーターを演じるのは黒人俳優である。これは昨今のポリコレ的な配慮ではなく、1970年代前半にアメリカで生まれた、アフリカ系アメリカ人を客層として想定したエクスプロイテーション映画(ブラックスプロイテーション)のパロディをやりたいだけの配役だろう。

よって、ペーターはピンプ(売春斡旋業者)のようなファッションで着飾り、違法な自家製チーズのプッシャー(売人)を生業にしている。それがすぐに秘密警察にバレてしまい、ペーターは血と内臓を盛大にブチまけながら惨殺される。ファンタスティック系の映画祭で上映されていたら、拍手で盛り上がる場面かもしれない。

そしてハイジは愛するペーターだけでなく、唯一の身内だった“アルムおんじ”も家ごと爆殺されてしまう。

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