全米で記録的大ヒット…! 映画『バービー』と『オッペンハイマー』、2本の新作映画が不況の映画業界を救う起爆剤に
7月21日に米国内で公開されたマーゴット・ロビー主演の話題映画『バービー』と、クリストファー・ノーランの最新作であり、原爆の父と呼ばれる一人の男の伝記映画『オッペンハイマー』の2作が、日本公開前に既にあらゆる興行収入記録を塗り替えているようだ。カナダのニュースサイトScreen Rantの記事を参考にその詳細を見ていこう。
2023年、2本の新作映画が業界の不況を救う
グレタ・ガーウィグ監督が製作した映画『バービー』は、主人公のバービー(マーゴット・ロビー)が、夢の世界「バービーランド」から、全てに限りのある困難だらけの「人間世界」にやってくるという奇抜なコメディ作品。
クリストファー・ノーラン監督が製作した映画『オッペンハイマー』は、原爆の父と呼ばれたJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)と、原爆の誕生を描いた強烈な伝記映画だ。
米variety誌によると、映画『バービー』は、オープニング興収1億5500万ドル~1億6000万ドル(日本円で約214億円〜221億円)を記録。一方、映画『オッペンハイマー』は、8,050万ドル(約111億円)と『バービー』には劣るものの、好発進。
映画『バービー』が2023年最高のオープニングを記録したのをはじめ、映画『オッペンハイマー』が、ノーラン監督の非バットマン映画の中で、最高のオープニング興収を記録するなど、次々と記録が更新されている。
劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会、会長兼CEOのマイケル・オリアリーは、この驚くべき週末の興行成績を祝う声明を発表。彼は以下のように述べた。
「大スクリーンの映画を愛する人々にとって、これは驚異的な体験だ。まさに歴史的な週末であり、2023年の興行収入の勢いを持続させた。さらに重要なポイントは、この記録は、アメリカが素晴らしい映画作品の鑑賞をとても愛しているということを改めて証明したことです」
「人々は、何か特別なイベントの一部になりたがっています。クリエイティブ・コミュニティとスタジオのパートナーたちは、大きなスクリーンにふさわしい、ユニークでスマートで独創的な2つの物語を観客に提供し、映画ファンは、友人や家族を集め、全国の地元の映画館に足を運ぶことでそれに応えた。映画館を運営する側にいる人々もまた、熱狂的な映画ファンのため、映画鑑賞体験をさらに充実させるプロモーションやユニークなイベントを企画し、それに応えた」
「この週末は、映画館での映画鑑賞という体験に代わるものがないということを示す輝かしい例となったのです」
コロナウィルスの大流行が始まり、2020年初頭に世界的な封鎖が行われて以来、劇場配給は不安定な見通し続きであった。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)のような映画は記録的な興行収入を得たが、他の映画の興行収入は、予測不能で不安定な動きを見せてきたのだ。しかし、今年2023年に公開された映画には記録を更新する作品や、人気シリーズ続編など、映画ファンにとって盛り沢山の1年であることは間違いない。
映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や映画『クリード3』。映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に『スクリーム6』、『インディジョーンズと運命のダイヤル』そして宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』。さらには『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚を描いた映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』など、まだまだヒットが期待できる作品も待ち構えている。
しかしながら、同時に懸念するべきポイントが一つある。それが現在ハリウッドで問題となっている映画俳優組合のストライキである。最近では、9月1日に日本公開予定のディズニーの最新作『ホーンテッドマンション』のプレミアで、登壇するはずであった全俳優が欠席し、代わりにキャラクターに扮したキャストが登壇するという非常に残念な事態が発生。
ハリウッドを取り巻く一連のストライキ問題は、今後も続くことが予想されており、いくつかの公開予定であった作品がその公開を延期するため、映画館にとって大幅な利益減少に繋がることが推定される。今後この問題により映画業界が受けるダメージが少ないことを祈り、今はただ見守るしかなさそうだ。
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