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スティーブン・スピルバーグによる驚異の演出術とは? 映画『ジョーズ』、サスペンスを盛り上げるための色使いに注目

text by 編集部

スティーブン・スピルバーグ監督が製作を務めた、パニックスリラーの名作『ジョーズ』。本作の製作にあたり、スピルバーグ監督は、作中内での赤色の使用を制限するという工夫を施していたようだ。今回は、Screen Rantを参考に、その詳細内容を確認していく。

「赤の制限」が理にかなっている理由とは

映画『ジョーズ』の1シーン【Getty Images】
映画ジョーズの1シーンGetty Images

1975年に公開された、スティーブン・スピルバーグの代表作の一つである映画『ジョーズ』は、今でもサスペンス映画の傑作として広く知られている。

どうやら、スピルバーグ監督は、本作の美術部に対して、驚くべき要望を語っていたようだ。

米Vanity Fair誌によると、スピルバーグ監督は、本作の製作を行う際、美術部に対し「赤を使いすぎないように」という要求を行ったという。セットを浸水させることなくサメが出現する「前兆」を表現するために、赤色の量をコントロールしたというのだ。スピルバーグ監督は、以下のように語っている。

「そう、映画『ジョーズ』では、どのセットでも、赤が支配的であってほしくなかった。”お願いだから、デザインして色を決めるときに、血以外では、赤を使いすぎないようにしてくれ “と頼んだんだ。そして、我々はこのルールを忠実に守った。キントナーは、赤い水着を着ていたし、フーパーとブロディが食卓につくシーンでは、赤ワインを使用したが、そこにはちょっとした象徴と伏線が含まれていた」

映画『ジョーズ』は、巨大なサメが静かなビーチタウンの住民を虐殺する内容であることを考えると、この要望は不思議なもののようにも思える。『ジョーズ』にとって、赤色は不可欠な色である。赤色は水中の血の色であり、死の色なのだ。

しかし、観客にサメの存在を暗示し、想像力によってサスペンスの構築を目指す本作は、サメが実際に登場するシーンよりも、その存在を暗示させるシーンの方が重要となっている。

映画『ジョーズ』では、その冒頭シーンから、観客がサメの脅威を知る。その後、未知の世界に潜む、サメの存在を想像せざるを得なくなる。そのため、赤い色彩を様々なシーンに多用すれば、血の恐怖を思い浮かばせる赤の印象を薄める危険性があったのだ。

スピルバーグ監督は赤色を多用できない代わりに、さりげなく様々なシーンに散りばめることで、観客の心にその恐怖を浸透させつつ、強く印象に残らないようにし、ジョーズの最も血なまぐさいシーンの衝撃に余地を残した。この選択は、映画『ジョーズ』を不朽のホラー・サスペンスの傑作にした大きな要因だといえる。

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