「京都を原爆投下リストから外す」今年最も注目を集める映画『オッペンハイマー』に、登場する衝撃的なセリフを紹介
クリストファー・ノーラン監督初の伝記映画「オッペンハイマー」。原爆の父と呼ばれる彼の作品は、日本人にとって目を被いたくなるような台詞やシーンが登場する。ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じたノーラン監督は、作中に登場する衝撃的な台詞を考案したのは、あの出演俳優だと明かした。
名脇役達と作り上げる、役への徹底的なリサーチカ
ノーラン監督が製作を務めた、今年の話題作『オッペンハイマー』は、原爆の父と呼ばれた、ひとりの男の伝記映画だ。本作は、その過激な内容から、R指定にレイティングされ問題作となった。今回彼は、作中に登場する衝撃的な、セリフやシーンが生み出された時のことを、現地メディアに語った。早速米Varietyを参考に、その詳細内容を確認していく。
世界で話題を呼んでいる、ノーラン監督の新作映画『オッペンハイマー』。本作には衝撃的なシーンや、セリフが多々登場する。
しかしその中でも、私たち日本人にとっては、かなり衝撃的なセリフ、シーンがある。それは、俳優キリアン・マーフィが演じる、主人公オッペンハイマーが、ヘンリー・スティムソン陸軍長官や、他の政府高官と、日本での原爆投下場所について、会談するシーンだ。
そこで、スティムソンは一行に、京都への原爆投下を避けるように発言する。なぜなら京都は、彼と彼の妻が新婚旅行に訪れた場所だったからだ。スティムソン長官のその訥々とした語り口と、原爆がもたらす破壊的な波紋を、彼個人の忖度や、利害に絡めたこのシーンのセリフは観る人によって、不快感をもたらすだろう。
ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、ノーラン監督は、この衝撃的とも言える台詞内容を考案したのは、スティムソン役を演じた、俳優ジェームズ・レマーだと明かした。
ノーラン監督が製作した脚本は、ほとんどが主人公オッペンハイマーの視点を通し、語られる。そのため、本作で脇役を演じる俳優たちには、自分自身が演じる役を、徹底的にリサーチするよう促していたようだ。そこでレマーは、スティムソンが、京都で新婚旅行をしていたことを知る。
「ジェームズ・レマーが、スティムソンと彼の妻が京都で新婚旅行をしたことを、どうやって知ったかのか、私に話したことがあった」とノーラン監督は語る。
彼は続けて、「スティムソンが、京都を爆撃リストから外した理由のひとつはそれだったのだ。彼は『そのシーンを追加してくれ』と言った。その場にいた誰もがどう反応していいのかわからないような、ファンタジックでエキサイティングな瞬間だったよ」
「それぞれの俳優が、現実の相手役がどのような人物であったかをリサーチして臨んでいた。彼らには、大量の宿題があり、原作である『アメリカン・プロメテウス』という素晴らしい資料があった。そして、彼らは自分たちでリサーチを行い、その内容を教えてくれた」
「例えば、教室に科学者たちが集まるシーンでは、即興でディスカッションをすることが可能となった。脚本はあるけれども、彼らは情熱を持ち、自分たちが学んだことに基づいた知識を使用し、そのシーンを作り上げていったのだ」と語った。
7月21日より公開以来、映画『オッペンハイマー』は、ユニバーサル・ピクチャーズにとって興行的に大きな力となっている。米国内興行収入は2週間足らずで1億8000万ドル(日本円で約258億円)を突破し、全世界では既に4億1200万ドル(約586億円)を突破している。『オッペンハイマー』が、3時間を超える、R指定の伝記ドラマであることを考えると、この数字は驚異的な記録だ。
映画『オッペンハイマー』の日本公開日は未定となっている。しかし米国同様に、日本にとっても大きな影響を及ぼすことになるだろう。
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