原作者やファンの想いが強い作品である漫画『ONE PIECE』。その世界を実写ドラマで表現する挑戦に、制作陣は困難を感じたとのこと。しかし、彼らの真摯なアプローチが徐々に実を結び、人気シリーズの継承と拡大の実現に成功した。今回は、米Movie Webを参考に、実写版『ONE PIECE』製作現場秘話を解説していく。

『ONE PIECE』に対する愛情がお互いへの信頼を生んだ

Netflixにて、8月31日より配信開始される人気アニメ作品の実写版ドラマシリーズ『ONE PIECE』。制作総指揮であるマット・オーウェンズと、スティーブン・マエダにとって、『ONE PIECE』の生みの親である原作者の尾田栄一郎氏とのコラボは、緊張感に溢れ、かつ困難を伴うものだったようだ。

『ONE PIECE』は、主人公モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味が、ルフィを海賊王にするため冒険する物語だ。この壮大な物語は、20年以上にわたって展開し続けており、アニメシリーズにおいては1,000話という驚異的な話数を誇り、作品の人気をますます増幅させた。

しかし、このように多くの人に愛されている物語を、漫画からアニメ、アニメから実写版といったように、新しいフォーマットに変換することは、決して容易なことではない。

本作の制作プロセスについて、マット・オーウェンズが、コンピュータゲーム関連のエンターテインメントウェブサイトであるGamesRadar+に語った。

マットによれば、本作の原作者・尾田栄一郎は、Netflixチームとの関わりにおいて、不屈の精神で厳しく臨んだという。

マットは以下のように語った。

「私が愛と畏敬の念を抱いているこの物語を創り上げた張本人を目の前にして、これまでの人生で、これほど緊張した経験はありませんでした。私は、尾田さんの赤子を預かるように、我々に信頼を寄せてくれるようお願いしました。尾田さんは当初、とても手ごわい人でした。実写版『ONE PIECE』は、初めての試みではないし、新しい方法で、この作品を表現しようとしたのも、私たちが初めてではないんです。

でも、私たちが正しい方向からアプローチし、このシリーズを守り、より多くの人々がこの作品に愛着を抱くような新たな道を作ろうと試みていることを感じ取り、私たちを信頼し始めてくれました」

最終的に、『ONE PIECE』という物語に対する共通の愛情が、原作者と製作スタッフの、お互いに対する信頼と尊敬の絆を育み、実写化作品の製作に向けて統一したビジョンを見出すことに成功した。

実写版『ONE PIECE』の吹替えを担当する声優陣は、これまでアニメ作品で登場したキャラクターの声を担当してきた、本職の声優達が揃っている。田中真弓がルフィ役で、ゾロ役を中井和哉、ナミ役を岡村明美、ウソップ役を山口勝平、サンジ役を平田広明が担当するというドリームチームが結成されており、アニメ版『ONE PIECE』を強く追求する姿が伺える。

ワンピースの新たな実写化は、この作品の昔からのコアなファンだけでなく、より多く、様々な人を魅了することを目指しており、原作の長い歴史を知らない人にとっても、このドラマシリーズが新しい入り口を提供することを目指している。

原作者、尾田栄一郎の要求や監視は、クリエイター陣に緊張を与え、神経をすり減らすものだったかもしれない。しかしそれがこのドラマシリーズの製作を成功へと導いた。

『ONE PIECE』を実写化するという試みは、大きな困難と挑戦に満ちたものではあったが、クリエイター達と、原作者の『ONE PIECE』という作品への想いが、新しい道を切り開いている。

オリジナル作品のエッセンスをどのように活用しているのか、本作の配信は成功するのか。それは、8月31日の配信開始を持って、間もなく明らかになることだろう。

【関連記事】
大失敗のジャンプ映画は…？『週刊少年ジャンプ』原作の実写映画ワースト5選。原作ファン大ブーイングの問題作をセレクト
杏がすごい！ 一方…小栗旬の李牧に賛否のワケとは？ 映画『キングダム 運命の炎』はひどい？ 面白い？ 忖度なしガチ評価
史上最高のジャンプ漫画実写化は？『週刊少年ジャンプ』原作の実写映画ベスト5選。コミックを超える感動が味わえる逸品も！？