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ローマ軍の甲冑と武器はほぼ歴史的に正確?

映画『グラディエーター』より
映画グラディエーターよりGetty Images

古代ローマ人がゲルマンの戦士たちを森から追い出す際、射手たちは矢の一斉射撃を行い、その後にカタパルトやボルトシューターを発射。歴史講師のRoel Konijnendijk博士が米Insiderに語った内容では、後者は「古代の大砲の最も一般的な形式のひとつ」だと言う。

また、ローマ人はこのような攻城兵器を戦闘で使用してはいたが、作品内に登場するような火をつけた飛び道具の火炎ミサイルなどが戦闘に登場したかどうかは、天候が非常に湿っていたために、疑問視されている。

さらに、将軍マキシマスが敵と戦うのに使用する剣はスパタ。これはローマ兵の標準装備だった武器だ。しかし、古代ローマの兵士が使用していたとされるピラと呼ばれる槍は、ほとんど作品内で登場しない。

劇中で、将軍マキシマスや他の兵士が着ている鎧も、比較的歴史に忠実となっているようだ。歴史学者サイモン・エリオット博士は、History Hit誌に、俳優ラッセル・クロウはロリカ・セグメンタタという、古代ローマの軍団兵に支給された金属片でできた鎧を着ていると語っている。

また、Roel Konijnendijk博士は、上述した軍隊が盾で作る隊形「テストゥード」は、映画で登場した状況下では使用されないだろうと指摘。

というのも、この陣形では兵士は移動しながら攻撃をすることができず、敵は陣形が崩壊するのを攻撃しながら待つことができるからである。

もう一つ注目したい場面がある。それが、将軍マキシマス達が戦いの後に訪れるキャンプ。映画では、ひとつの町のように描かれている。賑やかな群衆が、テントとたいまつの中で陽気に談笑する。このシーンは現実には即しているようだ。

ローマの野営地は、複雑で区画が配置されており、兵士たちが療養している間の防御機能を備えていた。にもかかわらず、設営も撤去も非常に迅速だったのだ。

イギリスのローマ遺跡ヴィンドランダの考古学的発掘では、頑丈な革製テントの遺跡が発見されている。

研究者たちは、これらが戦争の苦難の中、兵士たちの共同体意識に対し大きな役割を果たしていたことを発見し、論文『Warm and Dry: a Complete Roman Tent From Vindolanda(原題)』に、「夜間の暖かく乾いた宿舎という安心感は、士気を高めるだけでなく、兵士の健康と幸福にも大いに貢献した」と、記している。

ローマの勝利の後、マキシマスがテントの中で皇帝マルクス・アウレリウスと話をする場面では、リーダーの宿舎が豪華絢爛に彩られているのを確認することができる。

ソファや毛皮、大理石の胸像まである。階級が高ければ高いほど、テントも巨大になる。そのため、このテントのサイズと豪華さは納得がいく。

余談にはなるが、古代ローマの胸像は通常、無地ではなく明るい色で塗装されていることが多かった。

また、オープニングバトルで両軍が激突するとき、諸軍マキシマスのペットのオオカミが彼を助け、部隊の間を縫い、敵軍に獰猛に噛みつく姿が見られる。

将軍マキシマスがオオカミを友とするのは少し突飛な話に見えるが、この内容もしっかりと歴史を考慮した内容となっている。

まず、歴史家の中には、ローマ軍は実際に、軍隊の警護に犬を使用していたと考える者もいる。

そして、ローマ文化の興味深い側面を反映し、クロウのキャラクターに深みを与えているこのオオカミはローマ神話の軍神マルスのシンボルとなっている。

伝説によれば、第三次サムニウム戦争における決定的な戦いである、センティヌムの戦いでオオカミが出現し、ローマ軍が勝利する兆しを見せたという。

さらには、ローマの建国神話には、オオカミがローマの建国神話に登場するローマの建設者で双子の兄弟のロムルスとレムスを育てたというエピソードも存在する。

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