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「キューブリックをイメージして」
言葉の節々にあふれるプロ意識と演技への情熱

本作で主人公オーギー・スティーンベックを演じたジェイソン・シュワルツマン。ウェス監督は本作をジェイソンのために作ったと語り、脚本が完成していない構想段階からジェイソンのスケジュールを押さえるという本気ぶりだった。

そんなジェイソンはオーギーという役作りにおいて、「作品の内容もわからない頃から「とにかくキューブリックをイメージして」と言われた」という。スタンリー・キューブリックは写真雑誌のカメラマンとして働いたのち『2001年宇宙の旅』(68)、『時計じかけのオレンジ』(71)『シャイニング』(80)などの作品を監督・製作した映画監督であり、プロデューサーだ。

「僕は何を言われているのかさっぱりわからなかったし、作品もキューブリックに関連する要素は何もないのだけど、後になって自分の演じているキャラクターの喋り方が キューブリックっぽいと納得がいった」と話すジェイソン。

その特徴的な喋り方は妻のクリアリングマスクによって発見されたと明かす。顔が動かないよう、麻酔をしてもいいかもと話していたというエピソードからは役作りへの情熱がうかがえる。

オーギーの息子、ウッドロウを演じたジェイク・ライアンは、ウェス監督とジェイソンと話し合いを重ねて役を作っていった。

「オーギーとウッドロウはリスペクトしあっているような関係。ウッドロウは僕が到底及ばないような天才で、「役作りの参考に」とジェイソンがレイ・カーツワイルの『シンギュラリティは近い』を勧めてくれた」と、信頼関係が垣間見えるようなエピソードを語る。

実際に読んで、フューチャリストの考えを身に着けたと語るジェイクのプロ意識と努力によってスクリーンに現れたウッドロウという少年。信頼するジェイソンが演じる父とどのような関係を築いているのか、劇場でご覧いただきたい。

本作でウェス監督作品初出演となるスカーレット・ヨハンソンは、自身の演じた映画スター/ミッジ・キャンベルについて、「ミッジは他人に見られているということについて常に自覚的で、自らを演出しているところがある。映画の中でもそのようなことを言うね。心情的に理解できなくはない」と女優という職業ならではの感覚を役柄と共有していたことを明かしてくれた。

撮影現場について聞かれると、豪華なキャスト陣に興奮するおちゃめな姿も。今後どのような仕事をしたいか尋ねると、「常に新しい領域に挑戦したい。何か面白いもの、既視感のないものを提供できるような状態でいたい」と高いプロ意識を帯びた仕事への熱意を語る。

役や仕事に対して情熱を捧げる3人を中心に展開していく本作。その演技を劇場の大スクリーンで堪能してほしい。おかしくて、ちょっと切ない、ウェス監督最高傑作『アステロイド・シティ』。今後の続報にも期待してほしい!

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