ニック・ケイヴによる幻の脚本
驚くべきその内容とは
スコット監督の計画では、映画『グラディエーター』の脚本を務めたジョン・ローガンに、古代ローマを舞台にした続編の執筆してもらうつもりだった。その計画に対し、俳優ラッセル・クロウは、自身が実際に出演する映画の内容にこだわりを持っているため、別の脚本家ニック・ケイヴを雇った。
ケイヴは、クロウから映画『グラディエーター2』のオファーを受けた際、前作でマキシマスは死亡したので「マキシマスは死んだんじゃないの?」とクロウに尋ねると、答えは「ああ、それは君が解決してくれ」というものだった。
その回答を受けてケイヴが書き上げた脚本では、主人公のマキシマスが死後の世界で目を覚ますところから始まる。
そこは、ギリシャ神話に登場する、神々に愛された人々が死後に幸福な生活を送る楽園と呼ばれる「エリジウム“幸福(者)の島”」ではない…。惨めな難民達が、黒い海の岸辺に身を寄せ、果てしなく続く雨に濡れる冥界だった。
まるで亡霊のようなガイドと共に、主人公マキシマスは廃墟と化した神殿を訪れる。そこでジュピター、マルス、その他5人の病気で老いたローマの神々と対面する。ジュピターは、火と鍜治を司る神“ヘパイストス”が彼らを裏切ったと話す。
そして、その裏切り者であるヘパイストスを殺せば「エリジウム“幸福(者)の島”」の心地の良い黄金の麦畑の中で死んだ妻と息子に再会できる、という内容である。