コメディタッチに批判も…? リドリー・スコット監督×主演 ホアキン・フェニックス最新作『ナポレオン』現地速報レビュー
映画『グラディエーター』でお馴染みの名監督リドリー・スコット。映画『ジョーカー』の俳優ホアキン・フェニックスを主演に迎えたフランスの英雄ナポレオン・ボナパルトの伝記大作映画となる映画『ナポレオン』。日本では12月1日(金)より公開となることでその話題が集まっている。現地メディアでは早速本作のレビューが公開された。
コメディタッチに批判的意見
主演を担うのは映画『ジョーカー』(2019)でも話題の俳優ホアキン・フェニックス。
本作では、フェニックスが、フランス軍の司令官であり、後に皇帝となるナポレオン・ボナパルトを演じ、彼の妻であるジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)との波乱に満ちた人間関係と、その栄枯盛衰を描いた作品だ。
そんな注目の大きく集まる映画『ナポレオン』の公開が間近に迫る中、本作に対する最初のレビューが続々と寄せられ始めた。早速それぞれのレビューを確認していこう。
Screen Rantの編集者であるGraeme Guttmann。彼は、映画『ナポレオン』について、作品のトーンが「はっきりしない」、「一種のドメスティック・コメディとありふれた伝記映画の間で揺れ動いている」と評す。
米Variety誌のピーター・デブルージュ。彼も同様の感想を述べており「スコット監督は自分が管理できる以上のことをやってしまっている」と語っている。
これに対して他の批評家は本作に高評価を与えている。
例えば英Empire誌のキャサリン・ブレイ。彼女はスコット監督の本作を「ナポレオンという登場人物を面白く、もっともらしく解釈している映画」と評価している。とはいえ、この映画作品がコメディのような内容であったというGuttmannの主張に同意しているようだ。
映画『ナポレオン』の批評では、主人公ナポレオンの人生を表現した、激しいヒューマンドラマ的な要素と、作品に混ざるコメディタッチな要素が、最も論争の的になっているようだ。
エンターテインメントやポップカルチャーを取り扱う米Deciderの批評家Meghan O’Keefe。彼は、映画『ナポレオン』を「ストーリーテリングの興味深い実験」と評価する。
さらには、米IndieWireの批評家David Ehrlich。彼は、スコット監督が「そのユニークさがナポレオンをどこまで遠くに連れていってしまうのか非常に驚いているようだ」と話し、このユーモアに監督が「不意を突かれた」と非難している。
英Daily Mail誌の記者Brain Vinerは、女優ヴァネッサ・カービーと、俳優ホアキンフェニックスを比較し、本作での演技に注目している。
カービーの演技を「魅惑的」で「鋭い配役」と評する一方、フェニックスは「ブツブツとつぶやき」混乱する程「謎めいた」演技をしていると話している。
英Independent誌のClarisse Loughreyや、英公共放送局BBCの映画評論家ニコラス・バーバー。彼らは、フェニックスの主役ぶりに魅了されたと語る。英Independent誌のLoughreyは 「フェニックスの輝き」と称賛し、BBCのバーバーは「楽しめる」と評している。
米TheHollywoodReporterの映画評論家デイヴィッド・ルーニーは、ナポレオンの戦闘シーン。特に、プロイセン連合軍がフランス皇帝ナポレオンを打ち破った1815年の「ワーテルローの戦い」のスケールの大きさに感銘を受け「巧みに指揮されている」と話す。
米Colliderのロス・ボナイム記者は、映画『ナポレオン』のスコット監督について「これまで見たこともないようなスケールと壮大さを見せている」と高く評価している。
このレビューを見る限り、本作の物語の壮大さはファンを裏切ることがないようだ。しかしコメディタッチで描かれている内容というのが一体何を意味するのか、非常に気になるところだ。映画『ナポレオン』は、12月1日(金)より劇場で公開となる。
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