世界観に馴染めない…3つの致命的な違和感とは? 映画『ウィッシュ』徹底考察&評価。ディズニー最新作を忖度なしガチレビュー
text by 灸 怜太
ディズニー100周年記念とし、「約束された名作」として謳われているディズニー映画最新作『ウィッシュ』が現在公開中だ。本作は、記念作品ということから、ディズニーレガシーへのオマージュが詰まった作品となったが、否定的な意見も。今回は何がヘイトに繋がったのかを考察する。(文・灸 怜太)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価>
ディズニー100周年「約束された名作」は本当か?
夢に溢れた物語と、魔法のように魅力的なキャラクターを生み出し、人気作を連発してきたディズニー作品だが、ここ数年は興行成績も落ちてきており、あらゆる世代で話題となるような大ヒットからは遠ざかっている。
その原因のひとつとして、自社サブスク『ディズニープラス』で、劇場公開作品がすぐに配信されることが増え、従来のファンが映画館に行かなくなってしまったということが挙げられる。厳密にいえば、「わざわざ映画館に行かなくてもいいか」と思われてしまう時点で、作品自体の訴求力が落ちているともいえるのだが…。
そして、よく指摘されるのが行き過ぎた「ポリコレ」による作品の改変だ。政治的に正しいありかたを追求し、多様性を重視した結果、キャストやストーリーにまで様々な影響が及んでしまい、それを一部の観客がヘイトしているのだ。
そんな混沌とした状況に陥っているなか、ディズニーアニメーションが100周年を迎え、その記念作品として製作・公開されたのが『ウィッシュ』となる。ディズニーの威信をかけた“約束された名作”として、公開前のプロモーションにも気合いが入りまくっており、あらゆる場所で主題歌が流れたり、テレビなどの各メディアでも様々な宣伝が展開されている。
そこで大多数の観客が期待したのは、ディズニーらしい王道のストーリーに、素晴らしい楽曲、そして思わずグッズが欲しくなるような魅力的なキャラクターの活躍だと思われる。しかし、『ウィッシュ』は、そのすべてに「ん?」と感じるような違和感があり、その世界観に浸り切らせてくれないのだ。