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2.真面目なキャラに真面目なメッセージ性

福山雅治
福山雅治Getty Images

さらに100周年記念ということで、これまでのディズニー的レガシーにオマージュを捧げているのだが、それもなんだか引っかかる。

アーシャの仲間たちである、多様性たっぷりな「7人のティーンズ」は、『白雪姫』に出てくる7人の小人をモチーフとしている。この時点で「ん?」となるのだが、その中のひとりでアーシャの親友として描かれるダリアは脳血管障害で松葉杖をついているというキャラクター。しかし、この障害について劇中では特に触れないし、その設定を生かした展開もほぼない。

仲間たちのなかに自然に存在しているという点にポリコレ的配慮を感じるが、映画であるなら、そのキャラクター性は物語にとって意味があってほしいと思ってしまう。

往年のディズニーアニメらしい場面もある。ニワトリのレビューのようなシーンや、動物絡みのギャグは動きも含めて自然と笑みがこぼれてくる。だが、そんな瞬間はごくわずかだ。ディズニーアニメは、意外と品行方正でなく、ちょっと辛辣なギャグやパロディ精神があったりするのだが、今作ではまっすぐなメッセージ性に消毒されてしまっている。

そんなカタめな雰囲気を跳ね除けてくれるのが音楽の役割のはずなのだが、これも典型的なミュージカル調な曲が多く、歌唱シーンも既視感、既聴感に包まれる。メイン楽曲の『ウィッシュ ~この願い~』も、力強くてエモいのだが、カラオケで歌うにはちょっと重いのでヒットしなさそうだ。

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