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映画『パラレル・マザーズ』あらすじ

© Remotamente Films AIE El Deseo DASLU

2016 年、マドリード。フォトグラファーのジャニス(ペネロペ・クルス)は、法人類学者のアルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)のポートレートを撮影していた。彼女がこの仕事を引き受けたのには、ある目的があった。

スペイン内戦時にフランコ政権に殺された彼女の曽祖父を含む 10 数人の人々の遺骨の発掘を、彼に頼もうとしていたのだ。“歴史記憶を回復する会”のメンバーでもあるアルトゥロは、喜んで引き受ける。そして、初めて会った時から惹かれ合った二人は、たちまち恋におちる。

時が経ち、ジャニスは出産を控えて入院していた。ジャニスも同室のアナ(ミレナ・スミット)も、共に未婚でシングルマザーだ。「想定外の妊娠だけれど後悔していない」と誇らしげなジャニスは、不安のあまり涙ぐむまだ 17 歳のアナを「何もかもうまくいくわ」と励ます。そして、二人は同じ日に女の子を出産し、これからも何かと相談しようと連絡先を交換する。

© Remotamente Films AIE El Deseo DASLU

アナは両親が離婚してから長らく会っていなかった母のテレサ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)の家に身を寄せる。だが、売れない女優だったテレサは、舞台の主役をオーディションで勝ち取り、娘の育児の手伝いよりも長年の夢を優先する。ジャニスの方は、セシリアと名付けた娘の父親であるアルトゥロから「娘に会わせてほしい」と電話を受ける。

妊娠を知らせた時、妻が癌で療養中だったアルトゥロは、今ではなく「未来の計画にしてほしい」とジャニスに訴えた。だが、ジャニスは今がその時と一人で育てる決意をし、アルトゥロに別れを告げたのだ。自ら訪ねて来たのに、アルトゥロはセシリアを一目見ると、すぐに帰ってしまう。

翌日、訳を聞きにやって来たジャニスにアルトゥロは、「僕の子と思えない。DNA 検査をしたい」と言い放つ。腹を立てたジャニスは、「もう電話しないで」と再び別れを告げるが、セシリアの肌の色が自分にもアルトゥロにも似ていないのが気になり、ネットで DNA 鑑定のキットを取り寄せる。

メールで届いた鑑定結果を見て、衝撃を受けるジャニス。そこには、「100%の確率でジャニスはセシリアの生物学的な母親ではない」と記されていた…。

『パラレル・マザーズ』は、11/3(祝・木)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテ他公開

【作品情報】
『パラレル・マザーズ』
脚本・監督:ペドロ・アルモドバル (ペイン・アンド・グローリー/ボルベール〈帰郷〉)
出演:ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデ、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ロッシ・デ・パルマ、フリエタ・セラーノ
2021/スペイン・フランス
スペイン語/123 分/
カラー/5.1ch/ドルビーデジタル/アメリカンビスタ
原題:MADRES PARALELAS
字幕翻訳:松浦美奈 R15+

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