「サッカー最高!」人生が変わるサッカー映画5選。ハートウォーミングな名言が詰まった珠玉の作品をセレクト
text by 寺島武志
グラウンドを駆けまわる選手、プレーを見つめる監督、サポーターなど、複数のドラマが交錯するサッカーは、度々映画の題材になってきた。今回は、サッカーの素晴らしさを伝える、心温まる5本のフィクション映画をご紹介。実在する有名選手をテーマにしたコメディから、人種差別や戦争の影を描いた社会派まで幅広いラインナップが出そろった。(文・寺島武志)
「ドイツサッカーの父」と称される偉人の半生を描く
『コッホ先生と僕らの革命』(2011)
原題:Der ganz große Traum
製作国:ドイツ
監督:セバスチャン・グロブラー
脚本:フィリップ・ロト、ヨハンナ・シュトゥットゥマン
キャスト:ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスナー、ユストゥス・フォン・ドホナーニ
【作品内容】
1871年、イギリスのオックスフォード大学への留学を終えて、母国ドイツに帰国後、サッカーを国中に広めた中等教育機関の英語教師のコンラート・コッホとその教え子たちとの交流を描いた実話から着想を得たメタフィクション作品。
大英帝国を敵国とみなし、英語や英国文化を学ぶことに抵抗感を抱く帝国主義時代のドイツにおいて、服従と規律にがんじがらめにされていた少年たち。差別やイジメがはびこる学校、そして、子どもの人権など無視し、旧態依然で封建的な親たち。そんな環境にありながらも、子供たちは、サッカーを通して「フェアプレー精神」を伝え続け、次第に心を開いていく。
厳格で抑圧的な教育を受けて育った子供たちは、コッホとの交流を通じて、次第に自由な思想に開かれ、成長していく。一方、サッカーを「野蛮」と拒み、けなす古い体質の大人たちとコッホとの軋轢(あつれき)も描いていく。
最終的に、板挟みに遭ったコッホは学校から追放されてしまうが、その直後に、教え子たちは視察に来た英国のチームを打ち負かしてしまう。コッホが撒き続けてきた種が花開いたという結末である。
このエピソードによって、コッホは「ドイツサッカーの父」と称されることとなる。今やドイツは英国を凌ぐサッカー強国であるが、「強さ」だけではないサッカーの魅力を伝えている。