歴代ノーラン作品で最高興行収入を記録
ノーラン監督はまた、第二次世界大戦中の原子爆弾の誕生を描いた歴史大作映画『オッペンハイマー』の脚本も手掛けている。
本作『オッペンハイマー』は、アメリカの理論物理学者であるJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)が、ロスアラモス国立研究所で戦争を終結させる原爆開発に尽力する姿や、米国原子力委員会(AEC)での審理の様子を描いている。
映画『オッペンハイマー』は全世界で既に9億5,700万ドル(約1407億円)の興行収入を記録し、アカデミー賞では作品賞を含む最多13部門にノミネート。合計7部門を受賞し、20年以上にわたり、作品賞を受賞した歴代の作品の中で最も高い興行収入を記録した作品となった。
ノーラン監督の妻で、長年のプロデューサーパートナーでもあるエマ・トーマスは、作品賞を受け取りながら「映画を作っている人なら誰でも、この瞬間を夢見ているのは知っている」、「私はこの瞬間を長い間夢見てきましたが、それが実際に起こる可能性は非常に低いように思えました。」と語った。
ノーラン監督は自身のキャリアを通じて、『ダークナイト』三部作や、映画『インターステラー』(2014)などの批評的かつ商業的なヒット作を数多く生み出してきたが、それでも映画『オッペンハイマー』のこの大きな反響には正直自分でも驚いていると彼は語っている。
「特定の映画では、全く自分が予測もしなかったタイミングが訪れることがある」と彼は以前、米Varietyに話した。
「映画製作を開始しても、実際公開するまでに2〜3年は時間が掛かる。つまり観客の興味を掴むという点では、動く目標に弾を当てるようなものです。しかし、時には波に乗り、あなたが語るストーリーは人々が待ち望んでいるストーリーになることもあります。」
「ある種の映画では、自分が予想もしなかったようなタイミングが訪れることがある。「映画を作り始めると、公開されるまでに最低でも2、3年先になってしまう。しかし、時にはそれが波に乗り、その物語を人々が待ち望んでいるものになることもある」
映画『インセプション』や、映画『メメント』など、数々の名作を生み出してきたノーラン監督が、遂に監督賞を受賞したのは、とても意義のある出来事と言えるだろう。
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