カンヌ国際映画祭にて女優賞を受賞した鬼才アリ・アッバシ監督最新作『Holy Spider』(原題)の日本公開が決定!
今年のカンヌ国際映画祭にてザーラ・アミール・エブラヒミが女優賞を受賞した、鬼才アリ・アッバシ監督の最新作『Holy Spider』(原題)が、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて順次公開が決定した。今回は内容の一部をレポートする。
鬼才アリ・アッバシ監督が手掛けた
実際の事件に基づく、驚愕の衝撃作
【あらすじ】
2001年、イラン。女性ジャーナリストのラヒミは、聖地マシュハドを震撼させている売春婦連続殺人事件を追うために現地に赴く。犠牲者が増え続けるなか、なぜか警察は捜査に消極的だった。性差別がまかり通る社会で、ラヒミは不条理な圧力と身の危険を感じながら、真相の追求にのめり込んでいく。そして遂に犯人にたどり着くが、意外にもその男は敬虔で家庭的な男だった。「社会の浄化」と信じて犯行を重ねていたその男・サイードは、熱狂的な一部の市民から英雄視されていく・・・。
【作品紹介】
イランの聖地アシャドで2000年から2001年にかけて16人もの犠牲者を出した“スパイダー・キラー”と呼ばれたサイード・ハナイによる売春婦連続殺人事件に基づき描かれた本作は、2022年第75回カンヌ国際映画祭女優賞受賞の他、セビリア・ヨーロピアン映画祭主演女優賞、ストックホルム映画祭主演男優賞、作品賞を受賞するなど、世界中の映画祭を席巻。
監督を務めたのは、第71回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞した『ボーダー 二つの世界』(2018)(同年アカデミー賞スウェーデン代表)でスリリングなファンタジーの世界を描き、映画界の注目を一気に集めた、イラン出身デンマーク、スウェーデンで活躍する鬼才アリ・アッバシ。実際に起きた事件から着想を得た本作は、本年度アカデミー賞のデンマーク代表に選出されている。
主演の女性ジャーナリストを演じたザーラ・アミール・エブラヒミは、イランで女優として活躍していたが、2008年フランスへ亡命、その後はフランスの映像業界で活躍し、2017年フランス国籍を取得後、意欲的に映画に出演。その類まれなる演技力を認められた本作では、主演のみなならず、キャスティング・ディレクター、アシスタント・プロデューサーも兼任している。
海外での映画評でも「鋭く、不穏、そして、心奪われる」(Observer)、「信じられないほど恐ろしい」(Toronto Star)、「ぞっとする」(Daily Telegraph (UK))と不穏な恐怖を描いた本作への評価は高い。
イランの聖地を揺るがす売春婦連続殺人事件。女性ジャーナリストがたどり着く真相とは?注目の一作が日本公開となる。
『Holy Spider』(原題)
監督:アリ・アッバシ 脚本:アリ・アッバシ、アフシン・カムラン・バーラミ 音楽:マルティン・ディルコフ
撮影:ナディム・カールセン 編集:ハイェデェ・サフィヤリ、オリヴィア・ニーアガート=ホルム
出演者:メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ
製作国:デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フランス/ペルシャ語/2022/シネスコ/5.1Ch/118分/字幕翻訳:石田泰子
デンマーク王国大使館後援/配給:ギャガ
2023年4月 新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
【関連記事】
映画「ドライブ・マイ・カー」世界的高評価の理由は? 村上春樹の原作を換骨奪胎した驚異の脚本術<あらすじ 考察 解説>
映画「パラサイト 半地下の家族」アカデミー賞を制した怪物的傑作。高評価の理由とは?<あらすじ 考察 解説 レビュー>
映画「タクシードライバー」ラストシーンは主人公の妄想!? 孤独なテロリストを描いた問題作<あらすじ 考察 解説 評価>