カメラワークから読み解く、映画『バッドボーイズ』シリーズの魅力とは? 最新作『RIDE OR DIE』考察&評価レビュー
ウィル・スミス主演の人気アクションシリーズの最新作となる、映画『バッドボーイズ RIDE OR DIE』が公開中だ。誕生から30年を経てなお輝き続ける本作の魅力を、カメラワークというテーマから紹介。本作がバトルコップものの金字塔となった理由を解説する。(文・中川真知子)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。
ウィル・スミスを世に送り出した『バッドボーイズ』シリーズの衝撃
その映画の予告を初めて目にしたときの衝撃は忘れられない。街中で繰り広げられているとは思えない派手なカーチェイスと爆発、青い空を背負って立つ2人のアフリカン・アメリカン系の若者、画面に向かって一直線に走ってくる様子を捉えたショット。全てが新鮮で、「とんでもなく格好いい作品がやってくる」と興奮が抑えきれなかった。
主演俳優も監督もほぼ無名。唯一わかったのは、プロデューサーが『トップガン』(1986)や『ビバリーヒルズ・コップ』(1984)を手がけた人だということ。絶対に見ようと誓った映画のタイトルは『バッドボーイズ』といった。
同作は公開されるや否や大ヒット。日本では無名に近かったウィル・スミスは一気にスターダムを駆け上がり、本作で長編映画監督デビューを果たしたマイケル・ベイはヒットメーカーとして名を馳せた。
それから約30年。本シリーズの4作目に当たる『バッドボーイズ RIDE OR DIE』が公開されている。新作公開まで期間があいてもなお多くの観客が劇場に足を運ぶのは、彼らが2人の息のあったやりとりや派手なアクションに加えて、非常識なほどに自由で恥ずかしくなるほど挑戦的なシリーズならではのカメラワークを心待ちにしているからではないだろうか。
この記事では、そんな『バッドボーイズ』シリーズのユニークなカメラワークについて語る。