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ハードエイト 音楽の寸評

音楽監督を務めたのは、ジョン・ブライオンとマイケル・ペンのコンビである。ジョン・ブライオンは本作に加え『マグノリア』、『パンチドランク・ラブ』(2002)の音楽も担当しており、初期PTA作品のサウンドトラックを司る存在である。

ジョン・ブライオン
ジョンブライオンGetty Images

本作の音楽は、『ブギーナイツ』や『インヒアレント・ヴァイス』といった作品とは異なり、時代を代表するヒット曲がふんだんに使用されているわけではない。また、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』で聴かれるような実験的な音楽が使われているわけでもなく、耳を惹くテーマ曲があるわけでもないが、物語に寄り添うような慎ましい音色が魅力的である。

シドニーとジョンが初めて言葉を交わすレストランのシーンでは、両者の心が近づくにつれてBGMが繊細に切り替わり、師弟関係を結ぶ展開になると、軽快なピアノの音色が画面を彩る。

サウンドトラックと物語がマッチしているとはいえ、決してありきたりで紋切り型の表現となっているわけではない。ジミーがシドニーに拳銃を向けるシーンでは、物音のみを響かせる演出が効いている。

また、シドニーがジミーの家に忍び込み、拳銃を片手に彼の帰りを待つシーンでは、ゆったりとしたムード音楽調のスコアが使用され、サスペンスを静かに盛り上げている。

《主な使用楽曲》
ブレントン・ウッド『LOVE IS FREE』

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